新国立劇場『カヴァレリア・ルスティカーナ』『道化師』

標記公演を見た(5月14日 新国立劇場オペラパレス)。新制作。演出のジルベール・デフロ、美術・衣装のウィリアム・オルランディ、照明のロベルト・ヴェントゥーリが素晴らしい。デフロはベルギー・フランドル地方生まれ。ブリュッセルで学んだ後、ミラノ・ピッコロ劇場でG・ストレーレルに師事している。『道化師』の劇中劇(コメディア・デラルテ)の巧みな演出は当然のことながら、二作全編を通して、音楽に寄り添い、歴史に敬意を払う、献身的な演出だった。作品のあるべき姿を回復させる。美術も照明も同じ。特に照明の繊細さ、これ見よがしのなさに感動した。レナート・バルンボの指揮、東京フィル、新国立劇場合唱団も素晴らしく、久々に演出と音楽が一致した気持ちの良い公演だった。
なぜブログに書こうと思ったかと言うと、旅回り芸人の一団にアクロバットカップル(天野真志、Bila Olga)がいたから。知人によると、天野は89年生まれ、群馬県みどり市にある沢入国際サーカス学校卒業、Olga は81年生まれ、ウクライナ国立サーカス学校卒業で、沢入の講師とのこと。劇中観客に囲まれて、二人が超絶技巧リフトを次々に繰り広げる。最初はバレエ・ダンサーかと思って見ていたが、途中から女性がとんでもなく柔らかい体で、男性がザンパノ(フェリーニの『道』)のような力自慢に見えたことから、違う気が。プログラムを見ると、アクロバットとあった。ロシア風リフトの一つ一つが清々しく、大道芸人らしい古風なペーソスも感じさせる。デフロの演出が入っているのだろう。