池田扶美代『Cross grip × Tryout 2』

標記トライアウトを見た。ワーク・イン・プログレスのようなもの(8月16日 スタジオアーキタンツ)。
前半はライヒの曲で、ローザスでよく見た〝規則正しい偶然性〟の動き、中間はペルトで片脚立ち座禅を含む振付、後半はバッハでソロ、デュオ、トリオを取り混ぜる。ダンサーは池田、畦地亜耶加、木原浩太、川合ロン。
この4人の体が全部違う。池田はクラシックベースで、手を上げる動きにもラインが入る。ソロではローザス風のナルシスティックな少女性が立ち上り、来し方を思わせた。畦地は何ら技法が入っていないように見えて、実は鍛錬された体。一瞬たりとも動きがラインに乗っ取られることがない。常に自分の体。内側からの動き。日舞や舞踏を思わせた(伊藤キム笠井叡に師事)。木原は驚くべきダンサー。池田振付のあるべき形を瞬時に実現できる。同時に自分の体でもあり、今後50か60になった時、凄いことになっているかもしれない。川合はどちらかと言うと、形から入るタイプだろうか。エネルギーが外向きなのは池田と同じ。二人が大汗をかいているとき、木原、畦地は汗の気配すら感じさせない。日本のモダン=コンテンポラリーダンスの可能性を見たような気がする。