新潟市美術館2015

標記美術館に行った(9月5日)。Noism 0 の公演『愛と精霊の家』(感想は9月16日に既出)を見た翌日。丁度「ラファエル前派展」をやっていたが、それは見ないで、常設展示「HI, STORIES!」を見た。ピカソ草間弥生、カリエール、ルドン、エルンスト、アンソニー・グリーンと見ていくうちに、よくある地方美術館の有名作家羅列展示ではなく、統一された美意識の下に選択展示されていることが分かった。当たり前と言えば当たり前のことだが。日本人作家(森川ユキエ、橋本龍美、猪爪彦一、川口起美雄)やソフィア・リデトの写真、高松次郎野田哲也といった既知の作家の作品まで、全体が生き物のように有機的な秩序を保っている。そしてそこに付された学芸員星野立子)の柔らかな文章。市民の目線を意識し、新しい価値観へと誘うような、愛情と責任感にあふれた解説文だった。
美術館を設計した前川國男関連の展示もあった。美術館のシックでモダンな佇まい、落ち着いたインテリアに、初めて訪れた場所とは思えなかった。その理由は、すでに前川の建築に親しんでいたから。東京文化会館東京都美術館国立西洋美術館新館。自然の庭、自然食系のカフェを含め、居るだけでゆったりとした気持ちになる(居るだけで落ち着かなかったのは、兵庫県立美術館)。カフェでベーグルとスープのセットを食べた。おいしかった。
荷物を美術館のロッカーに入れて、日本海を見に向かった。昨日まで川の町だと思っていたが、美術館から元砂丘を越えて、日本海が見えた瞬間、海の町でもあることが分かった。砂防林の松林、昔風の海そばの木造家屋。碁盤状の町から、歩いて海に行ける! 金森穣と Noism はこういうところで創作活動していたのだ。