西岡樹里+中間アヤカ@「トヨタコレオグラフィーアワード」2016

標記コンクールを見た(8月6日 世田谷パブリックシアター)。最後の「トヨタ」ということもあったが、主な動機としては、西岡樹里、中間アヤカが出演したため。西岡は、1月の横浜ダンコレの『無・音・花』(振付:チョン・ヨンドゥ)で初めて見て、その優美な踊りに引き込まれた(公演評を本日付でブログ掲載)。中間は、高知県立美術館制作『ZERO POINT』(振付:ダレン・ジョンストン)のリハーサル見学で見て、他のダンサーとは全く異なる内発的な踊りに惹かれた。さらに、その滑らかな踊りと意識の集中が、先の西岡と酷似していた。見学後、中間に尋ねてみると、共に神戸のDance Boxが主催する「国内ダンス留学@神戸」の一期生であることが分かった。
西岡は伝統舞踊を思わせる優雅な様式美、中間は野性的な奔放さを個性とし、それぞれ神戸女学院大学ランバート・スクールと出自も異なるが、踊りの質は同じ。と言うことは、共通する「国内ダンス留学」の影響なのだろうか。カリキュラムには舞踏、コンテンポラリーダンスが並び、日本人ダンサーの可能性が追求されている。今回の上野愛実振付『under』においても、印象は変わらなかった。西岡は四方に飛び散るような鋭いソロを踊ったが、優美さは相変わらず。中間は何をするか分からない危険な香りを発散させた。
コンクールの作品傾向は、デジタル系、ストリート系、洋物志向。上野のみが分からないことをぐずぐずやっていて、何をやっているのかじっと見てしまった(2人のダンサーを確認する必要もあったが)。
審査員の中に批評家はいない。すべて劇場、美術館等のプロデューサー。ゲスト審査員にようやく実演家が入る。単純に考えると、振付家たちは、まず劇場のコンテンツであることを目指してしまうのではないか。商品を作ってしまうのではないか。自分を売ってしまうのではないか。現在面白い(または理想的な)審査員陣容を整えるなら、まず乗越たかおと武藤大祐を入れること。二人の戦いから、とんでもない振付才能が生まれると思う。