本日開設 片桐はいりのこと

 ダンス、バレエ、演劇、オペラ、映画を見た感想を書く日記を開設。片桐はいりづいているので。カンパニーデラシネラの『異邦人』、NHKのスタジオパーク、『もぎりよ今夜も有難う』(片桐の映画館エッセイ集)。
 『異邦人』は片桐の怪演により、マイム特有の西洋趣味を免れていた(10/8 シアタートラム)。破格の存在感。三本脚机にのしかかる時の痙攣は、小野寺の緻密な計算を簡単に上回る。スタジオパークで映画は恋人、舞台は配偶者と語っていたが、確かに演技の振り幅が尋常ではないにもかかわらず、全体の感触は地に足が付いたものである。過剰さと妙な慎ましさの同居はトークでも発揮された。質問に対して饒舌に答える一方、すみませんを連発する。ストイシズムの果ての大爆発なのだろう。エッセイでは大好きな映画通いを「日曜の礼拝に通うようなそれは神聖な行事」で「映画を観ている間だけ、なにかから救われる」と告白する。祈りに近い没入の体験が、片桐の舞台に深度を与えているのだと思う。