2014-01-01から1年間の記事一覧

2014バレエ総評

「2014年バレエ総評」をアップする。 2014年バレエ公演を振り返る(含13年12月)。今年最大の出来事は、デヴィッド・ビントレーが、新国立劇場バレエ団芸術監督の4年にわたる任期を終えたことである。ビントレーの功績は、優れたオリジナル作品『パゴダの王…

『ダンスワーク』68 2014冬号

『ダンスワーク』68号に公演評を書きました。 ・新国立劇場バレエ団『パゴダの王子』 ・日本バレエ協会「全国合同バレエの夕べ」 ・Dance New Air『赤い靴』(演出・振付 小野寺修二) ・NBAバレエ団『DORACULA』 上2本は『音楽舞踊新聞』評に加筆したもの…

2014洋舞ベスト5

『週刊オン★ステージ新聞』の「2014年洋舞ベスト5」アンケートに答えました。 上演順に、 ・Kバレエカンパニー『ラ・バヤデール』(振付・熊川哲也) ・スターダンサーズ・バレエ団『白鳥の湖』&『くるみ割り人形』(振付・鈴木稔) ・Noism1×Noism2「劇的…

新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』新制作2014

標記公演評をアップする。 新国立劇場バレエ団の新シーズンが、新制作『眠れる森の美女』で開幕した。プロローグ付き全3幕、休憩を含めて3時間半のオーソドックスな版である。長年英国で活躍した大原永子新芸術監督は、新版を、英国ロイヤル・バレエの元プ…

東京バレエ団『ドン・キホーテ』2014

標記公演評をアップする。 東京バレエ団が創立50周年記念シリーズの一環として、ワシーリエフ版『ドン・キホーテ』全二幕を上演した。振付指導は01年の初演時にキトリを踊った斎藤友佳理。公演前にはワシーリエフ本人も来日した。斎藤は振付を舞踊譜に書き起…

テアトル・ド・バレエ・カンパニー「ダンス・ボザール」

標記公演評をアップする。 塚本洋子主宰テアトル・ド・バレエ・カンパニーが、秋の定期公演として「ダンス・ボザール」を上演した。座付き振付家、井口裕之の作品を一挙に3作発表する、意欲的なプログラムである。 幕開けは、名古屋市の至学館高等学校ダン…

フェルディナント・ホドラー展2014

標記展覧会を見た(11月21日 国立西洋美術館)。高校時代に大原美術館で『木を伐る人』を見て以来、好きな画家だった。画業を辿るのは初めて。ふんふんと見ていくと、『オイリュトミー』の題字が。ルドルフ・シュタイナーと関係があるのかと思いながら、次の…

野村真弓@現代舞踊新進芸術家育成project4「踊る」

現代舞踊協会主催、文化庁海外研修員による公演「踊る」を見た(11月14日 KAAT大スタジオ)。出演は清水フミヒト(H20年度アメリカ研修)、野村真弓(H19年度フランス研修)、米沢麻佑子(H18年度アメリカ研修)、二見一幸(H5年度フランス研修)。税金がど…

フォーサイス@L.A.DANCE PROJECT

彩の国さいたま芸術劇場が開館20周年を記念して、 L.A.DANCE PROJECT の公演を行なった(11月9日 同劇場大ホール)。今季よりパリ・オペラ座バレエ団芸術監督になったバンジャマン・ミルピエが主宰するカンパニーである。ミルピエの『リフレクションズ』(13…

日本バレエ協会関東支部埼玉ブロック『白鳥の湖』2014

標記公演評をアップする。 日本バレエ協会関東支部埼玉ブロックが結成35周年を記念して、『白鳥の湖』全幕を上演した。演出・改訂振付は東京バレエ学校出身で、助教師としても活躍した木村公香。縁の深いゴルスキー=メッセレル版を原版としている。 木村演…

東京小牧バレエ団『牧神の午後』他2014

標記公演評をアップする。 東京小牧バレエ団が、日本・モンゴル国文化取極締結40周年記念として、『牧神の午後』、『イゴール公』、『ペトルウシュカ』を上演した。上海バレエ・リュスのソコルスキー版を小牧正英が日本に移植した、歴史的価値の高い作品群で…

東京シティ・バレエ団『ロミオとジュリエット」2014

標記公演評をアップする。 東京シティ・バレエ団が江東区との芸術提携20周年を記念して、オリジナル版『ロミオとジュリエット』全二幕を上演した。初日がバレエ団、二日目が江東区文化コミュニティ財団ティアラこうとうの主催である。同版の初演は09年、今回…

宮城県寺崎の「はねこ踊」@「東北の芸能V―東日本大震災復興支援」

標記公演を見た(9月27日 国立劇場大劇場)。なぜ見ようと思ったかと言うと、岩手県の「鹿踊大群舞」が入っていたから。新国立の「ダンス・アーカイヴ」や伊福部昭のコンサートで、江口隆哉振付の『日本の太鼓』を見ていて、現物とどれくらい違うのか確認し…

谷桃子バレエ団若手育成公演『ジゼル』2014

標記公演評をアップする。 谷桃子バレエ団の若手育成公演「New Passion Wave」が二回目を迎えた。第一回は12年の『白鳥の湖』。今回はバレエ団の魂とも言うべき『ジゼル』。谷桃子版は通常よりも役の掘り下げが深く、若手にとっては大きなチャレンジである。…

Project LUCT「Rising Sun」

標記公演評をアップする。 東日本大震災復興支援を目的とする芸術家団体Project LUCTが、初のバレエ・ガラ「Rising Sun」を開催した。本団体は、海外在住の日本人ダンサーと音楽家から構成され、被災地と次世代ダンサー支援を組み合わせた活動を行なっている…

山崎広太@「Tokyo Experimental Performance Archive」

標記公演を見た(9月23日 Super Deluxe)。主催は一般社団法人日本パフォーマンス/アート研究所(プロデューサー・小沢康夫)。通常の公演と違うのは、パフォーマンスを映像や写真で記録して編集、新たな映像作品としてネット上にアーカイブし、公開するとい…

山野博大編著『踊るひとにきく』を読む

山野博大編著『踊るひとにきく』をほぼ読了した(人名録がまだ)。発行日は2014年5月31日、発行所は株式会社 三元社、定価は本体4200円+税。全部で411頁の大著である。 この本の特徴は、踊る人に語らせていること。山野氏だったら、これまでの公演評、プロ…

Dance New Air 2014 片桐はいり@『赤い靴』

小野寺修二の演出で、片桐はいり、Sophie Brech、藤田桃子、小野寺が出演した(9月12日 青山円形劇場)。『赤い靴』と言えば、ダンスとの関連から、当然アンデルセンの『赤い靴』を考えなければいけなかったのに、なぜか「赤い靴〜履いてた〜女の子」だとば…

石神井バレエアカデミー「バレエ・ラビリンス」2014

標記公演評をアップする。 石神井バレエ・アカデミーが一昨年に続き、「バレエ・ラビリンス」を上演した(練馬区文化振興協会舞台芸術支援事業)。今回は、第一部が「バレエの始まりから今日まで」、第二部が『眠れる森の美女』第3幕という構成。演出・振付…

小林恭氏を追悼する

優れたバレエダンサー兼振付家だった小林恭氏の葬儀に参列した(2014年9月4日 青山葬儀所)。8月19日、肝不全のため死去。享年83歳だった。 小林氏は47年に石井漠に師事。49年谷桃子バレエ団に入団し、東京バレエ学校でワルラーモフとメッセレルに師事した。…

森嘉子『PADRES』(舞踊作家協会連続公演No.176)

標記公演を見た(9月2日 ティアラこうとう小ホール)。森嘉子の東京新聞制定舞踊芸術賞受賞記念公演。芸術監督に森、企画は雑賀淑子と加藤みや子。森と雑賀は、高田せい子の高弟である彭城秀子の弟子。それぞれの道を歩んだのち、偶然公演で出会い、旧交を温…

東京バレエ団創立50周年祝祭ガラ

標記公演を見た(8月31日 NHKホール)。マラーホフ、ルグリ、ギエムというNBSと関係の深いダンサーをゲストに迎えて、バレエ団が多彩なレパートリーを披露する。全体の印象は、ゲスト中心主義だった東バも、徐々に変わりつつあるのかなあというところ。沖香…

新国立劇場バレエ団『しらゆき姫』2014

標記公演評をアップする。 新国立劇場バレエ団がこどものためのバレエ劇場として、『しらゆき姫』(09年)を上演した。これまでの中劇場からオペラパレスに場を移し、レヴェルアップしての再々演である。構成・演出は三輪えり花、音楽構成は福田一雄、振付は…

日本バレエ協会「全国合同バレエの夕べ」2014

標記公演評をアップする。 日本バレエ協会が平成26年度「全国合同バレエの夕べ」を二日にわたり開催した。文化庁「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」の一環である。今年も9支部、1地区が12作品を出品し、本部恒例の『卒業舞踏会』が両日上演された…

さいたまゴールド・シアター×瀬山亜津咲『KOMA'』

標記公演を見た(8月28日 彩の国さいたま芸術劇場小ホール)。一年前のワーク・イン・プログレスとは全く異なる感触の作品に仕上がっている。前回はリハーサル室、今回は小ホールという条件を差し引いても、その違いは大きい。 前回は瀬山が役者(平均年齢75…

黒沢美香『薔薇の人―deep―』

標記公演を見た(8月27日夜 横浜氏大倉山記念館ホール)。黒沢を見るのは何年か振り。たぶん『roll』くらいまで見ている。今回見ようと思ったのは、4月にお父さんの輝夫氏がお亡くなりになり、5月の現舞公演でそのお父さんの映像を見たから。 中年女のような…

池田扶美代『Cross grip × Tryout 2』

標記トライアウトを見た。ワーク・イン・プログレスのようなもの(8月16日 スタジオアーキタンツ)。 前半はライヒの曲で、ローザスでよく見た〝規則正しい偶然性〟の動き、中間はペルトで片脚立ち座禅を含む振付、後半はバッハでソロ、デュオ、トリオを取り…

『週刊朝日』編集長

先日帰省から戻る車中で読もうと、『週刊朝日』を買った。バラバラめくると「堀内元」の文字と写真が。一般誌で舞踊関係は珍しく、熊川でも外国人ダンサーでもなかったので、驚いた。そう言えば7月に買った時も、「平成夫婦善哉」シリーズに近藤良平・燈子…

Kバレエカンパニー『ロミオとジュリエット』2014

標記公演評をアップする。 Kバレエカンパニーが創立15周年記念の一環として、熊川版『ロミオとジュリエット』全二幕(09年)を上演した。音楽はプロコフィエフである。熊川版の特徴は、やはり男性ダンサーの踊りが多いこと。ロミオ、マキューシオはもちろん…

バレエシャンブルウエスト「トリプル・ビル」2014

標記公演評をアップする。 バレエシャンブルウエスト第72回定期公演は、シンフォニック・バレエ、コンテンポラリー・ダンス、物語バレエを組み合わせたトリプル・ビル。異なる3ジャンルを、団員達がいかに踊り分けるかに注目が集まる。 幕開けの『バレエイ…