2012-01-01から1年間の記事一覧

2012年バレエ公演の総括

今年のバレエ公演総括をアップする。 2012年のバレエ公演を首都圏中心に振り返る(含2011年12月)。 今年はプロデューサー(または芸術監督)の顔が見える創作公演が多かった。振付家の育成および、作品保存を目的とし、他の舞踊ジャンルとの融合を目指すな…

新国立劇場バレエ団『シルヴィア』

新国立劇場バレエ団の『シルヴィア』評をアップする。 新国立劇場バレエ団が2012-13シーズン開幕公演として、デヴィッド・ビントレー版『シルヴィア』全三幕を上演した。少年時代、ネヴィル・マリナー指揮の『シルヴィア』組曲を繰り返し聴いた、ビントレー…

首藤康之「DEDICATED IMAGE 2012」

文化庁平成24年度優れた劇場・音楽堂からの創造発信事業として、首藤康之をフィーチャーした標記公演が行なわれた(10月21日 KAAT神奈川芸術劇場ホール)。 1時間の公演(休憩なし)。少し短い印象も。全体にダンサー首藤讃歌のコンセプトで、新しい境地を…

新国立劇場『リチャード三世』

鵜山仁の演出は幾つか見ているが、今回は鵜山の等身大の感覚や体臭に好感が持てた(10月19日 新国立劇場中劇場)。 『リチャード三世』は前にイアン・マッケランで見た。ヒヤリとする色悪系の造形だったような記憶がある。 岡本健一は愛されない不具の息子と…

東京バレエ団『オネーギン』【追記】

東京バレエ団の『オネーギン』を見た(9月29、30日 東京文化会館)。 シュツットガルト・バレエ団で見、東京バレエ団の初演でも見、時々ガラでpddを見ている。いつも思うのはクランコは陽性だということ。カラッとしていて、マクミランの対極にある。作品の…

小林紀子バレエ・シアター『アナスタシア』

小林紀子バレエ・シアターがケネス・マクミランの『アナスタシア』(全3幕)を上演した。本邦初。『アナスタシア』は1967年にベルリン・ドイツ・オペラで1幕物として作られた。音楽はマルティヌーの交響曲6番と電子音楽。その後チャイコフスキーの交響曲…

オールニッポンバレエガラ2012

日本人バレエダンサー達による復興支援チャリティ、「オールニッポンバレエガラ2012」を見た(8月15日 メルパルクホール)。昨年、東日本大震災から5ヶ月後の8月15日に開催されたガラの2回目で、今年が最後とのことである。当然ながら、昨年の公演を牽引し…

第13回世界バレエフェスティバルBプロ

世界バレエフェスのBプロを見た(8月13日 東京文化会館)。全体の感想は、バレエフェスが新たな局面に立っているということだった。 これまで佐々木忠次の一流豪華路線を突き進み、徐々に斜陽の雰囲気を漂わせていたのが、今回はそれぞれのダンサーが伸び伸…

新国立劇場バレエ団『マノン』

新国立劇場バレエ団がケネス・マクミラン版『マノン』を、9年振りに上演した。その公演評をアップする。 新国立劇場バレエ団が9年ぶりにケネス・マクミランの『マノン』(全三幕)を上演した。74年英国ロイヤル・バレエ初演、マクミラン44才の円熟期に作ら…

音楽の授業 村上愛子先生

明日シー・イージェのリサイタルに行く。ロッシーニ歌い。上海出身で30才、オーストリアのグラーツ音楽院に留学。2、3年前、東フィルの定期でゼッダ先生に連れられ、凱旋した(最初に東邦音大で学んだので)。一声聴いてびっくり。いつもユーチューブで…

ライムント・ホーゲ『牧神の午後』

ピナ・バウシュのドラマトゥルグをやっていたライムント・ホーゲの『牧神の午後』(08年)を見た。(7月14日 KAAT大スタジオ) ダンサーのエマニュエル・エゲルモンが仰向けに寝ている。頭と足の線上にコップが二つ。ホーゲが茶道のように歩いて、コップ…

第2回全日本健身気功・太極拳練功大会

標記大会を11:30から18:30まで見た(7月12日 国立競技場代々木第二体育館)。 代々木第二体育館に行くのは、ヨウジヤマモトのファッションショーに行って以来。この時は、体育館へ至る石畳を、黒い服を着た老若男女が黙々と歩いて、異様だった(自分たちも黒…

長谷川六最新ソロを見る

批評家、ダンサー、プロデューサー、教師として、日本ダンス界で独自の地位を築く長谷川六のソロを見た(7月10日 キッド・アイラック・ホール) 長谷川は、日本画家間島秀徳による巨大な円筒二基の間で、湯浅譲二の40年前の曲をバックに踊った、と言う…

新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』

今年5月の新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』評をアップする。 新国立劇場バレエ団が2年振り、5回目の牧阿佐美版『白鳥の湖』を上演した。 今回は主役に4組をキャスティング。次代を担う2組が、本格的なパートナーシップを発揮し始めた記念すべき公演とな…

牧阿佐美バレヱ団ローラン・プティの『ノートルダム・ド・パリ』

アレクサンドロワの繋がりで、牧阿佐美バレヱ団の『ノートルダム・ド・パリ』評をアップする。 牧阿佐美バレヱ団が創立55周年記念公演の一環として、ローラン・プティの『ノートルダム・ド・パリ』を上演した。プティは昨年七月に87歳で逝去。追悼公演はプテ…

ボリショイ・バレエ『スパルタクス』

今年2月に行なわれたボリショイ・バレエ来日公演から、『スパルタクス』評をアップする。 ボリショイ・バレエがセルゲイ・フィーリン芸術監督就任後、初めての来日公演を行なった。プログラムはユーリー・グリゴローヴィチ振付の三演目、『スパルタクス』『…

シュツットガルト・バレエ団『白鳥の湖』

クランコ版(63年)を初めて見る。第一印象は音楽をかなりいじっているということ(原曲使用あり)。一幕はワルツ(?)、トロワを省略、その代わりにパ・ド・シスで王子と女性(町娘とのこと)5人が踊る。次に王妃のくだり、そして乾杯の踊りになる。王子…

新国立劇場バレエ団『アンナ・カレーニナ』

新国立劇場バレエ団『アンナ・カレーニナ』評をアップする。 新国立劇場バレエ団春の中劇場公演は、2年ぶり2回目の『アンナ・カレーニナ』。ソビエト・バレエの伝統を受け継ぎ、それを極限まで進化させたボリス・エイフマンの作品である(05年)。 エイフ…

ウィーン国立バレエ団「ウィンナー・ガラ」+「エトワール」

休憩を含めて3時間15分の長丁場。コンテンポラリー系の作品が多く、プログラムとしては冗漫に思われる。個人的にはライトフットとレオンの『スキュー・ウィフ』、ロビンズの『イン・ザ・ナイト』が面白かった。動きに工夫があるのと、優れた音楽性ゆえ。 …

長谷川六の踊り

実演者として、批評家として、プロデューサー(教育者)として、特異な歴史を刻んでいる長谷川六氏。氏の舞踊公演について昨年と一昨年のものをアップする。 自由であれ 長谷川六の『櫻下隅田川』を見た。客電が落ちても、客席は落ち着かない。後方で紙をめ…