2015-01-01から1年間の記事一覧

新国立劇場バレエ団『くるみ割り人形』2015

標記公演を見た(12月19、22、23、26昼夜、27日 新国立劇場オペラパレス)。いつも通り、全キャストを見る強行軍だったが、体のほぐれる自然な観劇体験。大原芸監による有機的な配役と細かいステージング、指揮者バクランの繊細な音楽作りがその理由だろう。…

NBAバレエ団『ドン・キホーテ』2015

標記公演評が『ダンスワーク』72号に掲載されました。特集は「ダンサーとリトミック」と「記録:林慶一『公共について』」です。他に土方巽についての書籍紹介、長谷川六編集長のコラム「知と不知」など。 *入手方法は、郵便振替入金、書店からのご注文、メ…

ARICA+山崎広太『Ne ANTA』2015

標記公演評が『ダンスワーク』72号に掲載されました。 特集は「ダンサーとリトミック」と「記録:林慶一『公共について』」です。 他に土方巽についての書籍紹介、長谷川六編集長のコラム「知と不知」など。 *入手方法は、郵便振替入金、書店からのご注文、…

SCOT『エレクトラ』『鈴木演出教室』2015

標記公演を見た(12月19、21日 吉祥寺シアター)。SCOTの公演は思い出したように見ていたが、途中で出たり、鈴木忠志のトークの方が、公演そのものよりも印象に残っていたりで、よく分からない演出家だった(SCOTが Suzuki Company of Toga であることを今回…

ナハリン×米沢唯×ギエム

『ダンスマガジン』でオハッド・ナハリンのインタビューを読んだ(2016年1月号)。聴き手は三浦雅士(話はそれるが、NHKの『サラリーマンNEO』で、三浦そっくりの役者が三浦役を演じていたことを書き留めておく)。 元に戻って、面白かったのは、ナハリンが…

牧阿佐美バレヱ団『ジゼル』『牧神の午後』2015

標記公演評をアップする。 牧阿佐美バレヱ団創立60周年記念公演第4弾は『ジゼル』。改訂振付は牧自身による。同時上演はドミニク・ウォルシュ振付『牧神の午後』(09年)。ロマンティック・バレエ、コンテンポラリー・バレエの両者が共に異界に取材する、絶…

シュツットガルト・バレエ団「シュツットガルトの奇跡」&『オネーギン』2015

標記公演を見た(11月18、23日 東京文化会館)。現在ただ今はマリインスキー・バレエを見ているのだが。 今回の来日公演で思ったことは、シュツットガルト男性ダンサーの過酷さ。ガラの「シュツットガルトの奇跡」で、クランコ作品を5つ見たが、どれも超ア…

第二回「花柳寿楽舞踊會」2015

標記公演を見た(11月3日 国立劇場小劇場)。演目は長唄『二人椀久』と、長唄『安達ケ原』。前者は寿楽の父、二世花柳錦之輔の振付により、片岡孝夫(現仁左衛門)と坂東玉三郎が初演した。後者は寿楽の祖父、二世花柳壽楽の振付。曲は、二世杵屋勝三郎が明…

小林紀子バレエ・シアター『グローリア』他2015

標記公演評をアップする。 小林紀子バレエ・シアター第108回公演は、マクミランの日本初演作品『グローリア』を含むトリプル・ビル。同時上演は同じくマクミランの『ソワレ・ミュージカル』と、小林改訂の『ライモンダ』第三幕である。 80年、英国ロイヤル・…

第67回「西川会」2015

標記公演を見た(10月27日第二部 歌舞伎座)。都合で清元『三社祭』までを拝見。もちろん洋舞を見るように見たのだが、興味深かった演目は、清元『青海波』と荻江『松・竹・梅』。 前者は西川箕乃助振付。10人の女性が男役と女役(?)に分かれて踊る群舞作…

日本バレエ協会関東支部埼玉ブロック「バレエファンタジー」2015

標記公演評をアップする。 日本バレエ協会関東支部埼玉ブロックが、28回目の「バレエファンタジー」を開催した。芸術監督は矢野美登里。矢野の作る空間の中で、若手育成と創作推進の目的は今回も果たされた。 ブロックのジュニア達が踊るオープニング作品は…

牧阿佐美バレヱ団『くるみ割り人形』2015

標記公演評をアップする。 都内有数のバレエ会場、ゆうぽうとホールが、15年9月一杯で閉館した。33年の長きにわたってホールに親しんできた牧阿佐美バレヱ団は、年末の『くるみ割り人形』を一足早めて、ホールに別れを告げた。バレヱ団の母体、橘秋子記念財…

井上バレエ団『シンデレラ』2015

標記公演評をアップする。 井上バレエ団恒例の夏公演は、プロコフィエフ音楽、関直人振付の『シンデレラ』全3幕。6年ぶりの上演である。美術・衣裳は、王宮を森の中に作ってしまう森の詩人ピーター・ファーマー。妖精の白い衣裳や、緑と紫を基調とする淑女…

東京シティ・バレエ団『ジゼル』2015

標記公演評をアップする。 東京シティ・バレエ団恒例の夏公演は『ジゼル』全二幕。演出・振付は金井利久。今回はゲストバレエマスターに元シュツットガルト・バレエ団プリンシパルのローラン・フォーゲルを招いた。 金井版の特徴は、主役から脇役、端役まで…

川村美紀子新作『まぼろしの夜明け』2015

標記公演を見た(10月9日 シアタートラム)。夜はロベール・ルパージュの『針とアヘン』を見て、その実存と結びついた精緻な演出に唯々圧倒されたが、心が喜んだのは川村作品。やらかした、という感じ。チラシには「ヒトは、どれくらい踊れるだろう?」とあ…

NBAバレエ団『HIBARI』2015

標記公演評が『ダンスワーク』71号に掲載されました。特集は「イメージと表象」(山崎広太の文章あり)と「舞踏舎天鷄」です。他に「室伏鴻追悼」(森下隆、渡辺貴美子)。 *入手方法は、郵便振替入金、書店からのご注文、メールによるご注文のいずれかです…

Noism01 『箱入り娘』2015

標記公演評が『ダンスワーク』71号に掲載されました。特集は「イメージと表象」(山崎広太の文章あり)と「舞踏舎天鷄」です。他に「室伏鴻追悼」(森下隆、渡辺貴美子)。 *入手方法は、郵便振替入金、書店からのご注文、メールによるご注文のいずれかです…

日本バレエ協会「全国合同バレエの夕べ」2015

標記公演評をアップする。 文化庁及び公益社団法人日本バレエ協会主催「全国合同バレエの夕べ」が、二日にわたり開催された。「平成27年度文化庁次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」の一環である(協力・公益財団法人新国立劇場運営財団)。今回は岡本…

有馬龍子記念京都バレエ団『ロメオとジュリエット』2015

標記公演評をアップする。 フランス派スタイルを信奉する有馬龍子記念京都バレエ団が、久々の東京公演を行なった。プロコフィエフ音楽、ファブリス・ブルジョワ振付の『ロミオとジュリエット』全幕である。主要キャスト8人に、エトワールを含む現旧パリ・オ…

新潟市美術館2015

標記美術館に行った(9月5日)。Noism 0 の公演『愛と精霊の家』(感想は9月16日に既出)を見た翌日。丁度「ラファエル前派展」をやっていたが、それは見ないで、常設展示「HI, STORIES!」を見た。ピカソ、草間弥生、カリエール、ルドン、エルンスト、アンソ…

Noism 0 『愛と精霊の家』2015

標記公演を見た(9月4日 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館)。「新潟インターナショナルダンスフェスティバル2015」(芸術監督:金森穣)の一環。他に韓国の大邱市立舞踊団、中国香港の城市当代舞踏団が参加した(未見)。金森監督によれば、「新潟は鎖国…

鈴木ユキオ・川村美紀子・ケイタケイ@「ダンスがみたい! 17 〜春の祭典〜」2015

標記ダンサーによる公演を見た(それぞれ 7月31日、8月21日、8月23日 d-倉庫)。12人のダンサーがストラヴィンスキーの『春の祭典』で作品を作る途方もない企画。『春の祭典』を舞踊化する場合(元々舞踊音楽だが)、リズムと、物語性(生贄選び)を重視する…

東京バレエ団「横浜ベイサイドバレエ」2015

標記公演を見た(8月29日 象の鼻パーク 特設ステージ)。「DANCE DANCE DANCE @ YOKOHAMA 2015」の一環でもある。プログラムは、ブラスカ振付『タムタム』、ワシリーエフ版『ドン・キホーテ』第1幕より、ベジャール振付『ボレロ』。Wキャストの二日目だっ…

荒井晴彦監督『この国の空』2015

標記映画を見た(8月22日 シネリーブル池袋)。なぜ見たかと言うと、荒井晴彦の映画だから。97年の『身も心も』以来の監督作品。『遠雷』や『Wの悲劇』などは、荒井の脚本と知らずに見ていたが、阪本順治監督の『KT』や『大鹿村騒動記』は荒井脚本だと思って…

谷桃子バレエ団『Fascination Concerto Triple』2015

標記公演を見た(8月16日 DDD AOYAMA CROSS THEATER)。舞台と客席が近い空間で、迫力あるバレエパフォーマンスを見せる T-CONNECTION シリーズの3回目。 演出・振付は坂本登喜彦、作曲・音楽監修・演奏は打楽器奏者のYAS-KAZ、映像は立石勇人。踊り、音楽…

ニック・リード監督『ボリショイ・バビロン』

標記映画の試写を見た(7月30日 ショウゲート試写室)。ボリショイ・バレエ団芸術監督セルゲイ・フィーリンの硫酸襲撃事件を中心に、フィーリン時代の混沌から、ウラジーミル・ウーリン劇場総裁の改革までを描くドキュメンタリー。シングル・マザーのファー…

東京小牧バレエ団「スター・ガラ2015」

標記公演評をアップする。 東京小牧バレエ団がボストン・バレエの精鋭を招いて、「スター・ガラ2015」を開催した。バレエ団の常連ゲストで、ボストン・バレエ所属のアルタンフヤグ・ドゥガラーと、菊池宗団長のプロデュースによる。 第一部は『ジゼル』第二…

バレエシャンブルウエスト「トリプル・ビル」2015

標記公演評をアップする。 バレエシャンブルウエストが第74回定期公演を行なった。昨年に続き、船木城の創作を含むトリプル・ビルである。 幕開けの船木振付『Thousand Knives』(11年)は、12年にNBAバレエ団でも上演された作品。坂本龍一のアジア的な音…

新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』2015

標記公演評をアップする。 新国立劇場バレエ団が、大原永子芸術監督就任シーズン、最後の演目を上演した。06年初演、7回目の牧阿佐美版『白鳥の湖』(K・セルゲイエフ版に基づく)である。大原監督は古典バレエへの回帰と共に、演劇性重視を指導の要として…

長谷川六『闇米伝承』2015(追記あり)

標記公演を見た(7月10日 ストライプハウスM)。東京ダンス機構主催「TOKYO SCENE 2015」の一環である。作・演出・装置・出演は長谷川六。衣装(装置としての衣服)製作は奥野政江。照明はカフンタ。と書いて、照明に気付かなかったことに気付いた。照明効…