2021-01-01から1年間の記事一覧

2021年公演総括

2021年の洋舞公演を振り返る(含2020年12月)。 コロナ禍は依然として続いているが、昨年とは異なり、劇場が閉鎖されることはなかった。前半期は緊急事態宣言による公演中止や無観客公演、コロナ陽性者による公演中止等を経験。後半期は新規感染者数が減少し…

11月に見たダンサー・振付家 2021

● 大塚卓 @ 東京バレエ団『中国の不思議な役人』(11月6日 東京文化会館) 同団7月公演「HOPE JAPAN」の『ロミオとジュリエット』より pdd を見て驚いた。知らない間にスターが誕生していたからだ。当時のツイッターには「技術の高さ、振付解釈、情熱的なサ…

日本バレエ協会「バレエクレアシオン」2021

標記公演を見た(11月13日 メルパルクホール)。文化庁「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」の一環である。松崎えり振付『sinine』(25分)、福田圭吾振付『The Overview Effect』(35分)、島地保武振付『思いの果てにある風景』(45分)というプロ…

新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』〈新制作〉2021

標記公演を見た(10月23, 24, 30夜, 31日, 11月2, 3日 新国立劇場オペラパレス、11月7日 サントミューゼ上田市交流文化芸術センター 大ホール)。振付・演出はピーター・ライト、共同演出 ガリーナ・サムソワによる1981年初演の名版である(SWRB、マンチェス…

バレエシャンブルウエスト『シンデレラ』2021

標記公演を見た(10月10日昼 J:COMホール八王子)。演出・振付は今村博明と川口ゆり子。再演を重ねてきた重要なレパートリーである。5月公演『ジゼル』ではマイムの緻密さに驚かされたが、今回も冗長になりがちな1幕の演技が素晴らしかった。継母、義姉…

Noism Company Niigata ✕ 小林十市『A JOURNEY~記憶の中の記憶へ』

標記公演GPを見た(10月15日 KAAT 神奈川芸術劇場 ホール)。2ヵ月にわたって開催された「Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2021」の最終公演である。芸術監督の小林十市と、旧知の間柄である NCN芸術監督の金森穣がタッグを組む。双方に新たな刺激や展開をも…

「NHK バレエの饗宴 2021 in 横浜」

標記公演を見た(10月3日 神奈川県民ホール)。海外で活躍する邦人ダンサーをゲストに、国内のバレエ団、ダンスカンパニー、ダンスユニットが一堂に会する、祝祭的なバレエ公演である。後日 NHK 地上波で放送されるため、その年のバレエシーンを記録する貴重…

9月に見たバレエ公演2021

● 小林紀子バレエ・シアター「バレエ・ダブルビル 2021」(9月26日 新国立劇場 中劇場) 長年英国バレエをレパートリーとしてきたカンパニーが、2作の英国作品を上演した。フレデリック・アシュトンの『バレエの情景』とアルフレッド・ロドリゲスの『シンデ…

9月に見た振付家・ダンサー2021

● 橋本ロマンス @「SICF20 Winners Performance」(9月11日 スパイラルホール) 2019年開催「スパイラル・インディペンデント・クリエイターズ・フェスティバル20」のパフォーマンス部門でグランプリを受賞した、橋本ロマンスの新作『パン(仮)』。何の先…

谷桃子バレエ団「Alive」2021

標記公演を見た(8月29日 新国立劇場 中劇場)。バレエ団伝統の創作集である。演目は『Lightwarrior』(振付:日原永美子)、『Twilight Forest』(振付:岩上純)、『frustration』(振付:市橋万樹、石井潤太郎)、『OTHELLO』(振付:日原永美子、台本・…

8月に見た振付家 2021

● 福田紘也『Life - Line』@ 大和シティ・バレエ「想像✕創造 vol.2」(8月14日 大和市文化創造拠点シリウス芸術文化ホール メインホール) 公演の副題は「追う者と追われる者 」。5人の振付家が新旧作を出品し、最後に福田作品が上演された。アンドロイド…

「全国合同バレエの夕べ」2021

標記公演を見た(8月6, 8日 新国立劇場 オペラパレス)。「文化庁 次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」の一環である。昨年はコロナ禍で中止せざるを得なかったが、今年は現状変わらないまま、市松配席、マスク着用、時差退席等、感染予防対策を講じた…

関直人氏を偲ぶ 2021

井上バレエ団7月公演『コッペリア』を見た(7月31日 新宿文化センター 大ホール)。振付は関直人、再構成・振付を石井竜一が担当、森の詩人 P・ファーマーのけぶるような美術が幻想性を加える。「祈り」とフランツのソロを除いて関の振付が保存されているが…

7月に見たコンテンポラリーダンス公演 2021

● 中村恩恵 @ TRIAD DANCE PROJECT「ダンスの系譜学」横浜トライアウト公演(7月4日 Dance Base Yokohama) ソロ20分、トーク40分という公演。中村恩恵、串野真也(衣裳)、司会の宮久保真紀(制作)によるトークが、前半のソロを照らし出す構成である。中…

東京シティ・バレエ団『白鳥の湖』2021

標記公演を見た(7月18日 ティアラこうとう 大ホール)。バレエ団の主要なレパートリーである石田種生版『白鳥の湖』は、セルゲーエフ版、ブルメイステル版を参考にしつつ、4幕の石庭にヒントを得た独自のフォーメーションで、日本的美意識を主張する。また…

6月に見た英国バレエ2021

2つのバレエ団による英国バレエの競演。スターダンサーズ・バレエ団のピーター・ライト版『コッペリア』(95年 BRB)と、牧阿佐美バレヱ団のフレデリック・アシュトン版『リーズの結婚(ラ・フィユ・マル・ガルデ)』(60年 RB)である。『コッペリア』は昨…

新国立劇場バレエ団『ライモンダ』2021【追記】

標記公演を見た(6月5, 6, 11, 12日 新国立劇場オペラパレス)。2004年バレエ団初演、12年ぶり4回目の上演である。改訂振付・演出は元芸術監督の牧阿佐美、舞台装置・衣裳はルイザ・スピナテッリ、照明は沢田祐二による。牧版の特徴はマイムを舞踊に変換し…

KAAT『未練の幽霊と怪物』2021

標記公演を見た(6月9日 KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ)。作・演出:岡田利規、音楽監督:内橋和久、出演:森山未來(シテ)、片桐はいり(アイ)、栗原類(ワキ)、石橋静河(シテ)、太田信吾(ワキ)、七尾旅人(歌手)、演奏:内橋和久、筒井響子、吉…

5月に見た『ドン・キホーテ』 2021

● Kバレエカンパニー『ドン・キホーテ』(5月19日 Bunkamura オーチャードホール) 演出・再振付・舞台美術・衣裳デザインは芸術監督の熊川哲也。2004年の初演以来、再演を重ねる重要なレパートリーである。熊川版は、熊川自身が踊ったバリシニコフ版を基盤…

バレエシャンブルウエスト『ジゼル』+『In The Light』2021

標記公演を見た(5月22日夜 J:COM ホール 八王子)。主演目『ジゼル』に先立って、平田友子振付の新作『In The Light』が上演された。古典と創作を等しく重んじる 同団らしいプログラムと言える。副題は「見えないけれど此処にある光」。シューマンのピアノ…

アキコ・カンダダンスカンパニー『花を咲かせるために~バルバラを踊る』他2021

標記公演を見た(5月15日 東京芸術劇場 シアターウエスト)。アキコ・カンダ没後10年メモリアル公演である。カンパニーは師亡き後も、レパートリーを護り、新人を育成してきた。昨年はコロナ禍のため公演中止に。今年は密を避けるということもあり、6人の精…

新国立劇場バレエ団『コッペリア』2021

標記公演を無観客ライブ配信で見た(5月2, 4, 5, 8日 新国立劇場オペラパレスより中継)。政府の緊急事態宣言を受けて、新国立劇場も4月25日から5月11日までの全公演が中止となった。有料配信を希望する観客の声もあったが、準備期間が短いため無料配信に…

4月に見た公演・イベント 2021

● 代地 第七十一回「紫紅会」(4月17日午後 国立劇場 大劇場) 現当主である藤間蘭黄の祖母 藤間藤子の二十三回忌、母 蘭景の七回忌追善公演。詞章を不勉強のため、ダンスを見るように見て、浄瑠璃、唄も、音楽を聴くように聴いた。演目は、長唄「八島官女」…

3月に見た公演 2021

● Kバレエカンパニー『白鳥の湖』(3月25日 オーチャードホール) 5日間7公演4キャストのうち、新加入した日髙世菜の日を選んだ。カンパニーは『マダム・バタフライ』終了以降、舞台の方向性が定まらなかったが、今回ようやく芸術監督 熊川哲也の息吹が…

第 186 回吹田市民劇場『白鳥の湖』2021

標記公演を見た(3月21日 吹田市文化会館メイシアター 大ホール)。吹田市制施行 80 周年、メイシアター開館 35 周年を記念する節目の公演である。監修に前新国立劇場舞踊芸術監督の大原永子を迎え、芸術監督・演出・改訂振付を、新国立劇場バレエ団オノラブ…

牧阿佐美バレヱ団「プリンシパル・ガラ」2021

標記公演を見た(3月14日 文京シビックホール 大ホール)。演目は、『パキータ』第3幕より(振付:マリウス・プティパ)、『フォー・ボーイズ・ヴァリエーション』(振付:牧阿佐美)、『ル・コンバ』(振付:ウィリアム・ダラー)、『ライモンダ』第3幕(…

日本バレエ協会『眠れる森の美女』2021

標記公演を見た(3月6日 東京文化会館 大ホール)。今年の都民芸術フェスティバル参加公演は、『眠れる森の美女』を コンテンポラリーダンスとクラシックバレエで踊るダブルビル。コロナ禍の制約「密にならない」を逆手にとった 斬新な企画である。コンテン…

米沢唯 ✕ 島地保武 @「音楽×空間×ダンス」GP 2021

標記公演ゲネプロを見た(2月27日 音のふりそそぐ武蔵ホール)。会場は、西武池袋線武蔵藤沢駅にある八角形の音楽ホール。ゲネのため2階から見た(聴いた)が、井戸をのぞき込むような態勢で、音がふりそそぐ、というよりも、地面から湧き上がる印象だった…

Noism0/Noism1『Duplex』2021

標記公演を見た (2月26日 彩の国さいたま芸術劇場 小ホール)。ゲスト振付家 森優貴の『Das Zimmer』、Noism Company Niigata 芸術監督 金森穣の『残影の庭~Traces Garden』によるダブルビルである。 森は昨シーズン『Farben』を振り付けて、Noism ダンサ…

新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』2021

標記公演を見た(2月20日, 21日昼夜 新国立劇場オペラパレス)。イーグリング版『眠れる森の美女』は2014年初演。その後 17, 18年と再演され、本公演としては今回が4回目の上演となる。セルゲイエフ舞踊譜に端を発する英国版の流れをくみ、洗礼式の儀式性の…