2013-01-01から1年間の記事一覧

2013バレエ総評

標記総評をアップする。 2013年バレエ公演を首都圏中心に振り返る(含12年12月)。 今年はトリプル・ビル形式に優れた公演が集中、組み合わせの妙を堪能した。上演順に、新国立劇場バレエ団(バランシン、ビントレー、サープ)、NBAバレエ団(フォーキン…

岡登志子、中村恩恵『白い夜』

「大野一雄フェスティバル2012」初演作品の再演(12月6日 シアターX)。舞台に客席を設営し、ダンサーが入り口から入って本来の客席で演技するパートがある。岡と中村の振付・演出でどこからがそうなのか判然としないが、演劇的なところは中村、振付は岡だ…

新国立劇場バレエ団「DANCE to the Future〜 Second Steps」

標記公演を見た(12月7日 新国立劇場小劇場)。団員が同僚に振り付けた作品を発表する場である。芸術監督ビントレーのダンサー達への愛情から生まれた企画で、公演は言わば孵卵器。ビントレーがセレクトし、アドヴァイスし、上演順を考えるという、ビントレ…

ニューヨーク・シティ・バレエ A・Bプロ 追記

標記公演評をアップする。今回のNYCB公演は、ほとんどバランシン作品。これまでのようにマーティンスやラトマンスキー、ウィールダンの創作物は上演されなかったので、ダンサー達がバランシン・テクニックに集中したのか、以前気付かなかった繊細なポアント…

ライマンの創作と『リア』・村松稔之

日生劇場が11月8、9、10日とアリベルト・ライマンの『リア』を上演するのに先駆けて、ドイツ文化会館がライマン自身の公開インタヴューを行なった(11月4日 同ホール)。聞き手は昨年の日生劇場ドラマトゥルクである長木誠司氏。前半にライマンの作曲家への…

WWFes2013 神村恵・宮河愛一郎・村松稔之@田村友一郎

WWFesプログラム、田村友一郎の即興ストラクチャー公演《D.H.L》を見た(10月20日 森下スタジオB)。ダンサーは神村恵、宮河愛一郎、石和田尚子、柴一平、根岸由季、山井絵里奈。田村友一郎は、昨年の WWFes でキュレイションをめぐるラウンドテーブルに参加…

WWFes2013 山崎広太×伊佐千明×外山明@生西康典

半年ぶりに山崎の踊りを見た(10月17日 森下スタジオB)。山崎、西村未奈、印牧雅子が運営する Body Arts Laboratory が、年に一回主催する Whenever Wherever Festival の一プログラム。WWFes は創作プロセスを重視し、そのことでダンサーのネットワーク(…

小林紀子バレエ・シアター『マノン』2013

標記公演評をアップする。 小林紀子バレエ・シアターが二年ぶりに『マノン』を再演した。昨年の『アナスタシア』を挟んで、3年連続マクミランの大作を上演したことになる。 『マノン』は振付家のムーヴメントに対する意識が最も研ぎ澄まされた最高傑作であ…

スターダンサーズ・バレエ団「20世紀のマスターワークス」

標記公演評をアップする。 スターダンサーズ・バレエ団が「20世紀のマスターワークス」を上演した。創作物と並ぶ活動の柱の一つである。プログラムはバランシンの『スコッチ・シンフォニー』、『フォー・テンペラメント』、ロビンズの『牧神の午後』。演出・…

長谷川六@ヒグマ春夫

長谷川六がヒグマ春夫の空間に存在するのを見た(10月9日 キッド・アイラック・アートホール5階ギャラリー)。「連鎖する日常あるいは非日常の21日間・展」の一環である。 開演30分前にすでに長谷川は、白い布でぐるぐる巻きにされて椅子に座っていた。道路…

「全国合同バレエの夕べ」樫野隆幸と小㞍健太

標記公演評をアップする。樫野のプロットレス・バレエと小㞍のコンテンポラリー・ダンスが素晴らしかったので。 樫野作品は初めて。優れた音楽性と明晰な空間感覚がピンポイントで合致した精緻な作品。作り込む思考の量が半端ではない(普通はここまで作り込…

長谷川六『曼荼羅』

標記公演を見た(9月12日 ストライプスペースM&B)。 今井紀彰の曼荼羅のようなコラージュ作品と、柳田郁子の赤と生成りの布造形作品が置かれた空間でのダンス公演。前半は坂本知子の構成で、坂本と加藤健廣、上野憲治が、走り回り、ぶつかり合い、ころげ回…

英国ロイヤル・バレエ団『不思議の国アリス』「ロイヤル・ガラ」『白鳥の湖』

標記公演評をアップする。 英国ロイヤル・バレエ団が3年ぶり11回目の来日公演を行なった。全幕創作バレエ『不思議の国のアリス』、「ロイヤル・ガラ」、『白鳥の湖』の3プログラムである。 ロイヤル・バレエ団は丁度、世代交代の時期に当たっている。ギエ…

福田美蘭展

標記美術展を見た(9月7日 東京都美術館ギャラリーA・B・C)。 当日18時から東京文化会館小ホールでパーカッションとダンスのコラボ公演があった、そのついで(公演自体は何のため、誰のための公演かよく分からなかった、都民のためでもなく)。 福田はデザ…

KARAS「日々アップデイトするダンス」シリーズ

KARASの新しい本拠地、KARAS APPARATUS で標記シリーズの『終わらない季節、終わらない音楽』〜『第2の秋』へ向けて〜を見た(8月30日)。カラスアパラタスは荻窪西口から3分。すずらん通り商店街を下ったところにある。1階が受付、地下1階が稽古場兼ギ…

「ローザンヌ・ガラ2013」

2週間前になるが、標記公演を見た(8月18日 青山劇場)。 3部構成。1部2部は過去のローザンヌ受賞者と本年の受賞者によるガラ、3部はウーヴェ・ショルツ振付の『ラフマニノフピアノコンチェルト第3番」。これは2年前にアーキタンツ10周年記念公演で…

さいたまゴールド・シアター×瀬山亜津咲

標記二者によるワーク・イン・プログレスを見た(8月15日 彩の国さいたま芸術劇場大練習場)。 ピナ作品で見る瀬山は、いつも恥ずかしそう。とんでもない振付をエイッと飛び込んでやっている。真面目。自分に正直。苦しそうな時もあったが、不良青年のファビ…

イサムノグチ展+ゴッホ展(広島)

帰省したついでに、ひろしま美術館の「イサムノグチ展」と広島県立美術館の「ゴッホ展」に行ってきた(8月9日)。「ゴッホ展」は前売り券、「イサムノグチ展」は当日券。ただし「ゴ展」券を持っていると割引に。どちらも「アート・アーチ・ひろしま2013」7…

谷桃子バレエ団『道化師』他

標記公演評をアップする。今年はすでにコメディア・デラルテ物が3作、上演されている。フォーキンの『ル・カルナヴァル』(NBAバレエ団)、マルティネスの『天井桟敷の人々』(パリ・オペラ座バレエ団)、そして伊藤範子の『道化師』(谷桃子バレエ団)であ…

新国立劇場バレエ団『ドン・キホーテ』三日目、四日目

標記公演を見た(6月29、30日 新国立劇場オペラパレス) 19世紀古典バレエ(全幕)の良さは、世界中のバレエ団がほぼ同じ振付を踊り、歴代のダンサーによる蓄積が途方もなく大きいこと、主役バレリーナが全幕を踊り切ることで破格の成長を遂げる可能性がある…

新国立劇場バレエ団『ドン・キホーテ』初日と二日目

標記公演を見た(6月22、23日 新国立劇場オペラパレス)。 以前理想的と思っていた組み合わせが逆に。小野絢子は菅野英男と、米沢唯は福岡雄大と。『くるみ割り人形』もそうなったので、『パゴダの王子』や『アラジン』以外はこの組み合わせになるのかも。小…

パリ・オペラ座バレエ団『天井桟敷の人々』

標記公演評をアップする。 パリ・オペラ座バレエ団が3年ぶりに来日、『天井桟敷の人々』(08年)を上演した。マルセル・カルネ監督の傑作映画をバレエ化したもので、バレエ団芸術監督ブリジット・ルフェーブルの企画。振付をジョゼ・マルティネス、衣裳をア…

新国立劇場バレエ団『ペンギン・カフェ2013』

新国立劇場バレエ団『ペンギン・カフェ2013』評をアップする。 新国立劇場バレエ団がビントレーの『ペンギン・カフェ』を再演した。同時上演は前回と同じバランシンの『シンフォニー・イン・C』と、ビントレーの近作『E=mc²』(バレエ団初演)。一月公演同…

王家衛『グランド・マスター』

王家衛の映画を久しぶりに見た。07年の『マイ・ブルーベリー・ナイツ』以来(6月5日 ワーナーマイカル板橋)。 ウォン・カーウァイの映画は全部見ている。『2046』のキムタク出演部分を除くと、全部好きだ。 作品の構成はハチャメチャ、映像も歪んでいる、終…

フランシス・ベーコン展

フランシス・ベーコン展を見た(5月25日 国立近代美術館)。 NHKの「日曜美術館」で、井浦新を相手に、浅田彰が熱弁をふるっていたので、見ようと思った。神が死んだ後の宗教画(三幅対)とのこと。 行ってみると、ダンスとベーコン展のような感じ。土方巽『…

金森穣『ZAZA〜祈りと欲望の間に』

Noism1の神奈川公演を見た(5月26日 KAAT)。 一時、首都圏で公演を打たなかったが、その間に、ダンサーがバレエベースで統一されていた。演技派宮河愛一郎を除いて、みんな体が切れる。ラインも美しい。その分、金森の振付に抵抗する体(島地保武、青木尚哉…

平山素子『Trip Triptych フランス印象派ダンス』

標記公演を見た(6月7日 新国立劇場中劇場一階席のみ使用)。 見ながら思ったのは、時々曲が長い、後半が面白い、『ボレロ』はバレエダンサーのレパートリーになりうる、平山のダンサーとしての成長、平山の優れた音楽性、地についた世界観と演出、中村恩恵…

岡登志子クラス・創作ワーク・ショーイング

昨日アップした長谷川六パフォーマンスの前に、岡登志子ワークショップのショーイングがあった。当日12時45分から17時(途中退室)まで、岡のクラス(ジャン・セブロン・メソッド)と創作ワークショップを見学した。 ジャン・セブロンは1938年パリ生まれ。パ…

長谷川六パフォーマンス『透明を射る矢2ヒロシマ」

長谷川六のパフォーマンス『透明を射る矢2ヒロシマ』を見た(4月26日 森下スタジオ)。 長谷川の主宰するPAS東京ダンス機構による新作公演シリーズ「ピタゴラス2」の一環。今回は上野憲治との共演。両手奥それぞれに書見台を置き、原民喜『夏の花』の一節…

山崎広太インタヴュー(米国立芸術基金ブログ)

山崎広太のインタヴューが、アメリカの The official blog of the National Endowment for the Arts に掲載された。http://artworks.arts.gov/?p=16468山崎はツイッターでも様々な問題を提起しており、日本にいた時よりも、何を考えているのかよく分かる。 …