2017-01-01から1年間の記事一覧

バレエ団ピッコロ『不思議の国のアリス』2017

標記公演を見た(12月26日 練馬文化センター 大ホール)。今年は『不思議の国のアリス』の当たり年だった。6月にはカンパニーデラシネラの『ふしぎの国のアリス』(新国立劇場小劇場)、7月にはKAATキッズ・プログラム『不思議の国のアリス』(KAAT神奈川…

新国立劇場バレエ団『シンデレラ』2017

標記公演を見た(12月16日夜,17日,23日昼夜,24日 新国立劇場オペラパレス)。99年バレエ団初演、11回目のアシュトン版『シンデレラ』である。デヴィッド・ウォーカーの詩的な美術に、マーティン・イエーツ指揮の繊細で優美な音楽が、観客を夢の世界へと誘う…

2017年の『くるみ割り人形』

●NBAバレエ団(11月23日朝昼 ミューズ マーキーホール) 久保綋一版。クララとくるみ割り王子が全編を通して活躍し、金平糖の精(別配役)はカバリエールと踊る。クララは一年前のクリスマスにドロッセルマイヤーの甥と出会うが、今年は会うことができなかっ…

川口隆夫『大野一雄について』2017

標記公演を見た(12月3日 彩の国さいたま芸術劇場 小ホール)。本作は2013年にd-倉庫「ダンスが見たい」で初演、その後、国内のみならず世界各国で上演を重ねてきた。彩の国では関連プログラムとして、川口のワークショップ(本作の制作過程を体験)、ギャラ…

2017年公演総括

2017年の洋舞公演を振り返り、印象に残った公演・ダンサーを列挙する(含2016年12月)。 [バレエ] 新制作では、Kバレエカンパニーの『クレオパトラ』が抜きん出ている。企画・構成・演出・振付・台本は熊川哲也。記録の少ない歴史上の人物を主人公に、一か…

日本バレエ協会 「バレエクレアシオン」 2017

標記公演を見た(11月11日 メルパルクホール)。文化庁次代の文化を創造する新進芸術家育成事業の一環で、優れた振付家育成のための企画公演。同趣旨の「バレエ・フェスティバル」から数えると56回目の開催となる。所属団員を対象とした振付家育成は、新国立…

新国立劇場バレエ団 『くるみ割り人形』 新制作 2017 ①

標記公演を見た(10月29日,11月3日夜,4日,5日)。2017/2018シーズン開幕公演。先行のワイノーネン版(97年同団初演)、牧阿佐美版(09年)に次ぐ、ウエイン・イーグリング版『くるみ割り人形』である。イーグリングは96年にオランダ国立バレエ、2010年にENB…

新国立劇場バレエ団 『くるみ割り人形』 新制作 2017 ②

主役のクララ/金平糖の精とドロッセルマイヤーの甥/くるみ割り人形/王子は4組。初日の小野絢子と福岡雄大は、イーグリングの振付ニュアンスを完璧に実現した(2回目所見)。技術の高さ、正確さは言うまでもない。小野は生来の音楽性とユーモアを遺憾なく発…

10月に見た公演 2017

10月に見た公演について、短くメモする。 ●第19回早川惠美子・博子バレエスタジオ公演(10月21日 メルパルクTOKYO) プログラムは、早川惠美子振付『シンフォニーNo.8』、間宮則夫振付『ダンスパステル』、早川(惠)改訂、溝下司朗監修『ライモンダ』より第…

Kバレエカンパニー『クレオパトラ』 2017

標記公演を見た(10月20日 東京文化会館大ホール)。演出・振付・台本は芸術監督の熊川哲也、音楽はカール・ニールセン、舞台美術デザインはダニエル・オストリング、衣裳デザインは前田文子、照明は足立恒という布陣。全幕物の新作は3年ぶりとなる。前作『…

牧阿佐美バレヱ団 『眠れる森の美女』 2017

標記公演を見た(10月8日 文京シビックホール)。82年初演のウエストモーランド版。英国ロイヤル・バレエの流れを汲み、儀式性、格調の高さ、マイムの優雅さを特徴とする。また、農民のワルツの新振付、間奏曲を使った目覚めのパ・ド・ドゥ、男女ソリストに…

バレエシャンブルウエスト『タチヤーナ』2017

標記公演を見た(10月7日 オリンパスホール八王子)。02年の初演以来、再演(含海外公演)を重ねる、重要なオリジナル・レパートリーである。原作はプーシキンの韻文小説『オネーギン』。今村博明・木村功による台本を基に、江藤勝己が選曲(編曲:福田一雄…

 9月に見た公演・美術展・トーク 2017

9月に見た公演等について、短くメモする。 ●東京バレエ団「20世紀の傑作バレエ」(9月9日 東京文化会館) プログラムはキリアンの『小さな死』(91年)、プティの『アルルの女』(74年)、ベジャールの『春の祭典』(59年)。前2作はバレエ団初演、さら…

フォーサイス×トリシャ・ブラウン 2006年

共演した訳ではなく、両者のダンスカンパニーが同じ彩の国さいたま芸術劇場で、時を置かずに公演を行なったので。両公演評をアップする。 ●フォーサイス・カンパニー ウィリアム・フォーサイスが新カンパニー結成後、初の来日公演を行なった。50分スタンデ…

第3回「ブルノンヴィル・フェスティバル」2005

標記公演評をアップする。 ブルノンヴィルの生誕200年を祝うフェスティバルが、6月3日から11日まで、コペンハーゲンの王立劇場で開かれた。復元物を含めた11演目が上演され、最終日のガラ公演では、その抜粋とオペラからのパ・ド・ドゥやソロ等が、デン…

新国立劇場バレエ団2011年公演評

標記公演評をまとめてアップする。 ●『ラ・バヤデール』 新国立劇場バレエ団新春公演は二年半ぶり4回目の牧阿佐美版『ラ・バヤデール』。聖なる森の梢が上下する、ダイナミックな場面転換が見せ場の一つである。牧版の特徴は結婚式と寺院崩壊の場(ランチベ…

新国立劇場バレエ団2010年公演評

標記公演評をまとめてアップする。 ●『白鳥の湖』 新国立劇場バレエ団新年の幕開けは『白鳥の湖』。セルゲーエフ版を基に芸術監督の牧阿佐美が改訂を施したもので、今回新たに四幕のアダージョが削除された。オデットと王子が互いの感情を確かめ合うダンサー…

新国立劇場バレエ団2009年公演評

標記公演評をまとめてアップする。 ●『ライモンダ』 新国立劇場バレエ団が牧阿佐美版『ライモンダ』(全三幕)を上演した。ワシントン公演を含めると四度目の公演となり、バレエ団は振付をよく咀嚼、レパートリーとしての安定感が増している。 牧版の特徴は2…

新国立劇場バレエ団2008年公演評

標記公演評をまとめてアップする。 ●『カルメン』 新国立劇場バレエ団が三年ぶりに石井潤振付『カルメン』を上演した。初演時にもすでにレパートリーとしての地力は予想されたが、今回の再演でこれが確認されたことになる。 石井版『カルメン』の特徴は、オ…

新国立劇場バレエ団2007年公演評

標記公演評をまとめてアップする。 ●『眠れる森の美女』 新国立劇場開場記念公演から十年、五回目のセルゲーエフ版『眠れる森の美女』は、川村真樹の主役デビュー公演として記憶されることになった。川村は99年に入団、04年にソリストに昇格し、リラの精、ミ…

新国立劇場バレエ団2006年公演評

標記公演評をまとめてアップする。 ●「ナチョ・ドゥアトの世界」 新国立劇場バレエ団恒例の中劇場公演は、「ナチョ・ドゥアトの世界」。ドゥアトはベジャール、アルヴィン・エイリーの下で学び、クルベリ・バレエ、NDTに在籍、現在はスペイン国立ダンスカ…

新国立劇場バレエ団2005年公演評

標記公演評をまとめてアップする。 ●『白鳥の湖』 新国立劇場バレエの新年幕開けは、一年半ぶり七回目の『白鳥の湖』。マリインスキー劇場版として導入されているセルゲーエフ版は、踊りでドラマを推し進める、簡潔でスピーディな版である。結末が悲劇ではな…

新国立劇場バレエ団2004年公演評

標記公演評をまとめてアップする。 ●『シンデレラ』 かつてない出来の『シンデレラ』。星の精は元より、四季の精、道化(吉本泰久、バリノフ)、宮殿の男女群舞、キャラクターに至るまで、アシュトンのきびきびとはじけるような振付を実現している。粗暴な姉…

島地保武×環 ROY 『ありか』 2017

標記公演を見た(9月8日 KAAT神奈川芸術劇場大スタジオ)。「KAAT Dance Series 2017」の一環で、企画・制作は愛知県芸術劇場。 出演はダンサーの島地保武、ラッパーの環 ROY。コラボのきっかけは、環がワイングラスをグーで握ったのを、島地が目撃したこと…

NBAバレエ団 『The River』 『HIBARI』 2017

標記公演を見た(9月2日昼夜 東京芸術劇場プレイハウス)。久保綋一芸術監督の下、米国系作品の上演を続けてきたNBAバレエ団が、アメリカ・モダンダンスの流れを汲むダブル・ビルを上演した。アルヴィン・エイリーの『The River』(70年 ABT)と、オリジナル…

小林紀子バレエ・シアター 『バレエの情景』 『LA FIN DU JOUR』 『春の祭典』 2017

標記公演を見た(8月26日 新国立劇場オペラパレス)。マクミラン没後25周年記念公演と銘打たれたトリプル・ビルは、アシュトンの『バレエの情景』(48年)、マクミランの『LA FIN DU JOUR』(79年)と『春の祭典』(62年)というプログラム。マクミラン2作…

現代舞踊協会夏期舞踊大学講座2017 「モダンダンスの巨星 マーサ・グレアム」①

標記講座が二日間にわたって開催された(8月27,28日 国立女性教育会館)。講師は木村百合子、竹屋啓子、山野博大、スペシャルゲストに折原美樹。一日目は、全体進行を務める妻木律子の司会で、開講式から始まる。現代舞踊協会研究部担当常務理事 正田千鶴の…

現代舞踊協会夏期舞踊大学講座2017「モダンダンスの巨星 マーサ・グレアム」②

二日目の午後は、グレアム舞踊団最後の来日公演映像『春の祭典』(1984)を鑑賞(映像は前日同様、NHKの放映を録画したもので、竹屋講師が提供)。スペシャルゲスト 折原美樹の踊る姿も確認できる。黒いマワシを付けた筋骨隆々のハンサムな男性陣、白のキ…

現代舞踊協会夏期舞踊大学講座2017 「モダンダンスの巨星 マーサ・グレアム」③

標記講座の前に、あうるすぽっと、豊島区、ダンスカフェ共催のセミナー「アメリカンダンスの系譜:モダンとポストモダン」が催された(8月12日 あうるすぽっと)。第一部は「マーサ・グラハムと折原美樹」、第二部は「加藤みや子、トリシア・ブラウンを語る…

フレデリック・アシュトン メモ 2017

John Selwyn Gilbert文、Zoe Dominic写真の FREDERIC ASHTON 〜A CHOREGRAPHER AND HIS BALLETS (Henry Regnery Company, 1973)に、アシュトンの「子供時代から振付家になるまで」をフォーカスしたインタビューがある。興味深かったところを簡単にメモする…