2018-01-01から1年間の記事一覧

マリインスキー・バレエ2018

マリインスキー・バレエが3年ぶりに来日公演を行なった(11月28日〜12月9日 東京文化会館大ホール)。前回同様、ファテーエフ芸術監督の美意識が行き渡っている。繊細で美しい女性ダンサー、役への細やかなアプローチ、創作時のスタイルに沿った踊り方など…

新国立劇場バレエ団 『くるみ割り人形』 2018

標記公演を見た(12月16日昼夜, 21日, 22日昼夜, 24日 新国立劇場オペラパレス)。昨年初演のイーグリング版『くるみ割り人形』は、少女クララの成長譚という点でワイノーネン版を踏襲している。そこに英国系の細やかな演劇性を加え、兄妹愛、家族の絆を強調…

11月に見た公演 2018

11月に見た公演について短くメモする。 ●伊藤郁女・森山未来 『Is it worth to save us?』 (11月1日 KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ) 伊藤が実父と踊る作品『私は言葉を信じないので踊る』を見ることができなかったので、同じ彩の国さいたま芸術劇場で制作…

10月に見た公演 2018

10月に見た公演について短くメモする。 ●北村明子 『土の脈』 (10月14日 KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ) 『土の脈』という題名だが、スタイリッシュでいかにも北村らしい作品。東南〜南アジアの土地からインスピレーションを得たにもかかわらず、雪のツリ…

日本バレエ協会「バレエクレアシオン」 2018

標記公演を見た(11月17日 メルパルクホール)。文化庁「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」の一環である。フリーの振付家にとって、バレエダンサーに振り付けられる絶好の機会。これまで協会員だけでなく、様々な分野で活躍する振付家が参加してきた…

Kバレエカンパニー 『ロミオとジュリエット』 & 『ドン・キホーテ』 2018

標記公演を見た(10月13日, 11月16日 東京文化会館大ホール)。 『ロミオとジュリエット』は2009年初演、演出・振付は熊川哲也である。熊川版の特徴は、ジュリエットの従姉ロザラインが活躍すること。ロミオを手玉に取り、モンタギューの女たちとカルメンま…

新国立劇場バレエ団 『不思議の国のアリス』 新制作 2018 ①

標記公演を見た(11月2,4,7,11日 新国立劇場オペラパレス)。バレエ団にとっての2018-19シーズン開幕公演である。クリストファー・ウィールドン振付の『不思議の国のアリス』は、2011年英国ロイヤル・バレエで初演された(主演:カスバートソン、ポルーニン…

新国立劇場バレエ団 『不思議の国のアリス』 新制作 2018 ②

主役は2キャストが組まれた。初日アリスの米沢唯は、目前に現れる不思議に対して、生き生きとした好奇心を見せる。体が大きくなったり縮んだりする飲み物・食べ物への思い切りのよさ、動物たちとのにぎやかな駆けっこ、ジャックとのみずみずしいデュエット…

谷桃子バレエ団「創作バレエ・15」 2018

標記公演を見た(11月3日昼 新国立劇場中劇場)。伊藤範子振付作品のダブル・ビルで、新作『HOKUSAI』と、『道化師―パリアッチ』(13年)というプログラム。ミラノ・スカラ座での研修経験(16年文化庁特別研修員)を生かした、言わば帰朝報告である。 幕開き…

バレエシャンブルウエスト『ルナ―月の物語かぐや姫』2018

標記公演を見た(10月6日 オリンパスホール八王子)。『天上の詩』、『時雨西行』と並ぶ、和物の創作レパートリーである(2004年初演)。演出振付の今村博明・川口ゆり子は、地元八王子で160年続く車人形(西川古柳座)と、プラネタリウム「MEGASTAR-Ⅱ」(大…

牧阿佐美バレヱ団『白鳥の湖』 2018

標記公演を見た(9月29日 文京シビックホール 大ホール)。文京シビックホール主催 バレエ・エデュケーショナル in Bunkyou の一環である。現行三谷恭三版の基になったウェストモーランド版は、1980年に団初演。N・セルゲイエフによるプティパ=イワノフ原…

Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 「トリプル・ビル」 2018

標記公演を見た(9月2日 横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール)。フェスティバル・ディレクター ドミニク・エルヴュのコンセプトによるヒップホップ系トリプル・ビル。ジャンヌ・ガロワ振付『リバース』、東京ゲゲゲイ、Ryouta Takaji振付『東京ゲゲゲイ女学…

星野幸代著『日中戦争下のモダンダンス』(汲古書院、2018.2.6)

星野の専門は近現代中国文学と近現代中国舞踊史。概略をメモする。 【第一章】民国期中国におけるモダンダンスの受容。 【第二章】植民地時代の台湾の舞踊家、蔡瑞月と李彩娥の活動を、朝鮮の崔承喜の影響を視野に入れつつ考察。蔡は石井漠舞踊学校から石井…

阪本順治『エルネスト』2017

標記映画を昨年見た(10月18日 イオンシネマ板橋)。最近BS-TBSで、同監督の『顔』(2000年)、『団地』(2016年)を改めて見たので、昨年書いたメモをアップしてみる。 主人公はチェ・ゲバラの志を継いだ日系ボリビア人、フレディ前村ウルタード。冒頭のゲ…

Noism01『ROMEO&JULIETS』 2018

標記公演を見た(9月14日 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール)。演出振付は芸術監督の金森穣。本拠のりゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館で3回、富山市オーバートホールで1回、今回共演した俳優達(SPAC)の本拠 静岡芸術劇場での2回公演を経た、埼玉公演3…

東京バレエ団 「プティパ・ガラ」 2018

標記公演を見た(9月1日 神奈川県民ホール 大ホール)。マリウス・プティパ生誕200周年を記念し、『ジョコンダ』より「時の踊り」、『アルレキナーダ』よりパ・ド・ドゥ、『エスメラルダ』よりパ・ド・シス、『ラ・バヤデール』より「影の王国」、『騎兵隊の…

8月に見た振付家 2018 伊藤/宝満/貝川/中村 【追記あり】

8月に見た振付家について、短くメモする。その前に、今夏のガラ等で印象に残ったダンサーを振り返りたい。まずは「バレエ・アステラス」に出演した相澤優美(ジュネーヴ大劇場バレエ団)。知的なダンサーで、振付の本質を瞬時に見抜くことができる。動きそ…

日本バレエ協会 「全国合同バレエの夕べ」 2018 ①

文化庁及び日本バレエ協会主催「全国合同バレエの夕べ」が二日間にわたり開催された(8月3,4日 新国立劇場オペラパレス)。文化庁次代の文化を創造する新進芸術家育成事業の一環である。今年は日本バレエ協会創立60周年に当たり、13支部、本部・東京地区全て…

日本バレエ協会 「全国合同バレエの夕べ」 2018 ②

二日目幕開けは、関東支部『In the air』(振付:青木尚哉)。フィリップ・グラスの『奔馬』を使用、ミニマルに陶酔する音楽を18人の女性ダンサーが踊る。黒のレオタードからカラフルなドレスへの変身あり。中腰での前傾、床を使った動きに、バレエのパを…

7月に見た振付家・ダンサー 2018 ブルメイステル/柳下・藤井/ショルツ/ブルジョワ

7月に見た振付家・ダンサーについて、短くメモする。 ●ウラジーミル・ブルメイステル @ 東京バレエ団 『白鳥の湖』 (7月1日 東京文化会館) ブルメイステル版『白鳥の湖』は1953年モスクワ音楽劇場で初演。パリ・オペラ座やミラノ・スカラ座でも上演され…

小林紀子バレエ・シアター「シアトリカル・ダブルビル」 2018

標記公演を見た(6月30日 新国立劇場中劇場)。英国バレエの導入を活動の柱とする小林紀子バレエ・シアターが、「シアトリカル・ダブルビル」と銘打ち、ニネット・ド・ヴァロワの『チェックメイト』とフレデリック・アシュトンの『二羽の鳩』(全二幕)を上…

アキコ・カンダ ダンスカンパニー『哀が散る』 2018

標記公演を見た(6月27日昼 東京芸術劇場シアターウエスト)。プログラムは『灰色の輝くとき』(カンパニー初演70年)と『哀が散る』(93年)のダブル・ビル。前者は、アキコがアメリカから帰国後に指導を始めた宝塚歌劇団で上演された。レパートリーの中で…

新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』 2018

標記公演を見た(6月9日,16日昼夜,17日 新国立劇場オペラパレス)。ウエイン・イーグリング版『眠れる森の美女』は2014年、大原永子芸術監督就任シーズン開幕公演として初演された。翌15年には『NHKバレエの饗宴』で第三幕のみを上演、今回は17年に続く3度…

牧阿佐美バレヱ団『ライモンダ』 2018

標記公演を見た(6月10日 文京シビックホール)。牧阿佐美バレヱ団は79年にウェストモーランド版『ライモンダ』を初演、再演を重ねた後、08年に総監督の三谷恭三が改訂を施した。今回は10年ぶりの上演となる。歴史舞踊の導入に加え、一幕グランド・ワルツの…

能藤玲子@「モダンダンス 5月の祭典」 2018

現代舞踊協会主催「モダンダンス 5月の祭典」で能藤玲子作品を見た(5月22日 めぐろパーシモンホール)。能藤は1931年網走市生まれ。藤間流杵屋之冨、石井漠門下古谷睦子に師事した後、51年から59年まで邦正美に師事。同年札幌市に「能藤玲子創作舞踊研究所…

東京バレエ団『真夏の夜の夢』他 2018

標記公演を見た(4月28,29日 東京文化会館大ホール)。上野の森バレエホリディの中核公演で、アシュトン版『真夏の夜の夢』とバランシンの『セレナーデ』のダブル・ビル。さらに前座公演の形で、『真夏』のみがファミリー公演(半額以下、オケ付)として上演…

Kバレエカンパニー『白鳥の湖』&『コッペリア』 2018

標記公演を見た(3月24日昼、5月24日 オーチャードホール)。演出・再振付は共に芸術監督の熊川哲也。『白鳥の湖』は03年、『コッペリア』は04年の団初演で、後者は8年ぶりの上演となる。初演当初は熊川自身が主役を踊り、若々しいエネルギーとスピーディな…

神村恵@「ぴちぴちちゃぷちゃぷらんらんらん」 2018

標記公演は、日本女子体育大学ダンス・プロデュース研究部主催のコンテンポラリーダンス公演(5月11日 あうるすぽっと)。コンテンポラリーダンスの現役振付家を招聘し、同大舞踊学専攻生がダンサー、裏方全般を担う。11回目に当たる今回は、白神ももこ、神…

バレエシャンブルウエスト「トリプル・ビル」 2018

標記公演を見た(5月13日 オリンパスホール八王子)。第82回定期公演に当たり、ジョン・ヘンリー・リード振付『Through their eyes』、今村博明・川口ゆり子振付『バレルのアマデウス』、同じく今村・川口振付『新・おやゆび姫』というプログラム(上演順)…

新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』 2018

標記公演を見た(4月30日、5月3日昼夜、4,5,6日 新国立劇場オペラパレス)。06年初演より8回目、3年ぶりの牧阿佐美版『白鳥の湖』である。今回は一幕の優雅な男女アンサンブル、二・四幕の音楽的で磨き抜かれた白鳥アンサンブルが実現し、一瞬、牧時代が戻…