岡登志子クラス・創作ワーク・ショーイング

昨日アップした長谷川六パフォーマンスの前に、岡登志子ワークショップのショーイングがあった。当日12時45分から17時(途中退室)まで、岡のクラス(ジャン・セブロン・メソッド)と創作ワークショップを見学した。
ジャン・セブロンは1938年パリ生まれ。パリ・オペラ座ダンサーだった母に学び、その後 the London Leeder school に入学、同時に幾つかの極東スタイル(武術?)も学ぶ。ロンドンでデビューしたのち、the Essen Folkwang school へ赴き教師となる。フォルクヴァンク・バレエでも踊った。
岡は1990年にフォルクヴァンク大学に留学、ジャン・セブロン・メソッドを習得した。入学後、コンテンポラリーダンスクラシックバレエ、民族舞踊、ルドルフ・フォン・ラバンの舞踊譜などを2年、セブロン教授のメソッドクラスを2年学ぶというカリキュラム。岡によれば、セブロン・メソッドにはクルト・ヨース、ジーゴード・レーダー、ルドルフ・フォン・ラバン、チェケッティ・メソッドの影響が見られるという。またヨースのカンパニーで一緒に踊っていたピナ・バウシュは、セブロンの振付から大きな影響を受けたと語っている(『ダンスワーク』2013年、pp. 64-77 )。
岡のクラス(2時間)は座位から始まり、立位で終わった(3日間のうち初日のみ見学)。座位は胡坐か前方に足を投げ出す形。坐骨を使い、前進後退したりする。その際呼吸が重要で、胸を入れることが多い。バウシュの座ったまま左右に揺れる動きを思い出した。3拍子あり。以前、市田京美によるヨース・クラスを見学した際、3拍子の情動を喚起する動きを見た記憶がある。座位では呼吸法と身体への意識が重視され、やはり東洋的な印象を受けた。
立位になると、バットマンの変形などが見られ、よりダンスに近くなる。バウシュの片腕を上げて螺旋を描く動きは、ここから来たのかと思った。
岡は関西ニュアンスのある歯切れのよい口調で、受講者を引っ張っていく。岡自身はバレエダンサーの体。腕使いが繊細で、動きに詩情がある。
創作のワークショップでは、今年上演された作品の抜粋を使用し、受講生のインプロヴィゼーションを加える。老若男女、ばらばらの受講生の個性を一目で見抜き、彼らの動きをさらに展開させて、優れたダンスに置き換える凄さ。構成(ダンサーの関係性)を考えながら、個々の動きを付けていく速度に驚いた。19時30分からのショーイングは、一つの作品として見ることができなかった。作品化のプロセスを知っているので、ダンサーが与えられた振りをいかに遂行し、その上で自分を出せたかどうか注視してしまったからだ。