現代舞踊協会夏期舞踊大学講座2017 「モダンダンスの巨星 マーサ・グレアム」③

標記講座の前に、あうるすぽっと、豊島区、ダンスカフェ共催のセミナー「アメリカンダンスの系譜:モダンとポストモダン」が催された(8月12日 あうるすぽっと)。第一部は「マーサ・グラハムと折原美樹」、第二部は「加藤みや子、トリシア・ブラウンを語る」(聞き手は舞踊評論家の石井達朗氏)。折原に絞って印象に残った言葉を挙げると、グレアムはイメージを使って踊る、エネルギーの方向を見せる、女性の視点から世界を見る(非フェミニズム)、人種・宗教で人を差別しない、スクールではビッグ・ユリコ(キクチ)派とパール・ラング派に分かれていて、前者は気を出す、後者は形から入る、グレアムはヨガをやっていた、踊っていると気持ちがいい、など。折原は79年渡米、83年グレアムのセカンドカンパニーに入り、87年グレアム舞踊団入団、これまで42作品で主役・コーラスを踊っている。同団プリンシパルダンサー。グレアム・テクニックとの出会いは、渡米後に通ったアルヴィン・エイリーのスタジオ。「胴が長いので(本人談)、コントラクション&リリースに合っている。グレアムは奥が深いと思い、グレアム・スクールに入った。」

マーサ・グレアムについては、映像や活字で知るのみだった(来日公演には間に合わなかった)。TV番組やイサム・ノグチ展での舞台美術を見たりして、偉大なモダンダンスの母というイメージを浮かべるに留まっていた。グレアム・メソッドが気になり始めたのは、アキコカンダ・ダンスカンパニー公演を見てから。これも本腰を入れて見るようになったのは、アキコがなくなってからである。若手から中年にかけての女性陣が、恍惚、とまではいかないが、気が全開した気持ちよさそうな表情で生き生きと踊っている。これはメソッドに何かあるのではと思い、YouTube でグレアム・メソッドのクラスを見ると、ヨガや東洋的なフォルムに似た動きが散見された。東洋と西洋のハイブリッドが、すでに存在していたのだ。