第67回「西川会」2015

標記公演を見た(10月27日第二部 歌舞伎座)。都合で清元『三社祭』までを拝見。もちろん洋舞を見るように見たのだが、興味深かった演目は、清元『青海波』と荻江『松・竹・梅』。
前者は西川箕乃助振付。10人の女性が男役と女役(?)に分かれて踊る群舞作品。途中デュオ、トリオなどが入る。背景は銀屏風で、男役は濃い紫の着物、女役は薄紫の着物で裾を引き、白地に水色の波模様の扇を全員が持つ。美術の洗練に息をのんだ。
振付は詞章を反映していると思うが(分からない)、様式的で、抽象化されたシンフォニック・バレエのように見ることができた。途中、グレアム・メソッドのアキコ・カンダダンスカンパニーを、何故か思い出した。全員が一つの様式に身を捧げ、舞踊家として日々精進していると感じさせたからだろう。女性舞踊家が女らしさに頼らず、男性舞踊家と同じように道を究めていける流派なのだろうか。アキコのカンパニーを思い出させたもう一つの理由は、フォーメイション、ダンサーの出し入れに、洋舞に通じる快楽を感じたからかも知れない。
後者は西川扇藏振付。箕乃助(松)がいつの間にか舞台に座っている。その完全無欠の佇まいに驚かされた。研ぎ澄まされた体の線(着物の線)、一分の隙もない動きに、踊りというよりも、武道の型を見せられたような気がした。清冽でしかも円満な境地。
西川流のスタイルは、これ見よがしでなくストイック。芝居に寄りかからず、動きの追求を行なっている。様式性の滋味を味わえる、清々しい舞踊空間だった。