SCOT『エレクトラ』『鈴木演出教室』2015

標記公演を見た(12月19、21日 吉祥寺シアター)。SCOTの公演は思い出したように見ていたが、途中で出たり、鈴木忠志トークの方が、公演そのものよりも印象に残っていたりで、よく分からない演出家だった(SCOTが Suzuki Company of Toga であることを今回初めて知ったくらい)。なぜ足を運んだかというと、Noizm の金森穣が私淑しているので、それを確かめに行ったのだ。
金森は鈴木の演劇理論と、日本の身体を取り入れたメソッドに大きな影響を受けている。だが本質的には、金森の方が戯曲・台本を生かす演出家であり、それに即した振付ができる(当たり前)振付家だと思う。
今回も公演やメソッド(それはそれで面白かったが)よりも、鈴木の言葉や身体の方が、印象に残った。チャンバラごっこをしていた男の子と、明晰な理論家が、それぞれ純粋な形で鈴木の中にいる。祖父が義太夫の師匠だったことと、その後の知的教育を、何とか融合させようとしてきた果ての姿。鈴木の歌舞伎や、能の声色、体の切れは凄まじかった。「ギリシャ悲劇は体をセンターに置いて、神に向かって喋る。チェーホフは少し斜めに、別役や平田(オリザ)は並んで、任侠物(と言ったのか聞こえなかったが)は、斜め後ろから喋る」を、声と身体の質を変えて模範演技した。その真っ直ぐなエネルギーと華やかなオーラ。鈴木が SCOT のスターなのだと思った。それを証明するように、客席には着物姿の奥様たちが当たり前のようにいる。やはり義太夫の血筋なのだろうか。鈴木の理論については現在、中村雄二郎との対談集『劇的言語』を読んでいる最中。