バッハ・コレギウム・ジャパン『ヨハネ受難曲』

バッハ・コレギウム・ジャパンBCJ)の『ヨハネ受難曲』を聴く(3月29日金曜日 東京オペラシティコンサートホール)。
チケットを前日に取ったので、舞台の真横(3階)から聴くことになった。そのため鈴木雅明指揮は全く見えず、息子の鈴木優人チェンバロを注視していた。あとオーボエオーボエ・ダ・カッチャ持ち替え)、リュート男声合唱が見えた。
歌詞を眺めながら聴くと、歌手たちが言葉を身体化していることがよく分かる。レチタティーヴォはもちろん、アリアも歌っているというより、語っている感じ。そしてやはり礼拝に近い感触がある。全員がキリスト教徒だとは思えないが、自らの罪のために、キリストが十字架にかかり、罪を贖ってくださったことを信じている歌であり、身体だった。聴いている我々は、常に歌手の、ということは指揮者のエネルギーを受け続けている。そのエネルギーを通して、鈴木雅明の信仰が確認された。
同時に、鈴木は西野式呼吸法の実践者でもある。体がほぐれた状態で指揮をする喜びについて語っている。BCJの演奏がまとっているプラスのオーラは、信仰のみならず、ほぐれた身体によるもののような気がする。BCJ独特の聴衆の熱い拍手も、気の伝達を考えると当然の結果に思える。
4月12日には、鈴木優人のオルガンと勅使川原三郎のダンスのコラボレーションが、東京芸術劇場で行われる。鈴木(優)はこれまでもコンテンポラリー・ダンスとの共演を何回か果たしている。身体への関心は、親譲り? どのような気の遣り取りが成立するのか、期待したい。