練馬圓明院『花まつり』音楽と舞の奉納

家から歩いて20分の所にある圓明院の釈尊降誕会花まつり』に参加した(4月7日)。
圓明院は真言宗、1501年に開かれ、御本尊は不動明王室町時代作)。上板橋の駅から商店街を抜け、川越街道を渡ると、急に田舎の感じに。農家の構造が残った家もある。田舎道のようなゆっくりカーブした道を歩いていくと、右手に山門、門前にはお地蔵さんが並んでいる。寺務所で受け付けをし、本堂の決められた席に着いた(参加費はお弁当付きで1500円)。ご住職の法話。「キリストの降誕祭クリスマスに比べると、お釈迦様の降誕会は広く行なわれているとは言い難い・・・神社での舞の奉納はよく聞くが、お寺でも東大寺ができた時には、インド(?)や中国から楽士がやってきて舞を奉納した。今回初めて、ピアノ演奏と踊りを奉納することにした・・・献灯、献花、献香は、子供たちが行う。子供たちが身に着けている袈裟の由来は・・・」など。子供たちが蝋燭、花、線香を捧げる間、ピアニストの佐藤勝重氏が、電子ピアノ(チェンバロ音)で奏楽。その後全員で「開教の文」「般若心経」「光明真言」「廻向の文」を唱えた。
続いて、佐藤氏のピアノ『さくらさくら』に乗せて、松崎えり氏の舞。花模様の着物を羽織り、ゆっくりとコンテ風に舞う。ピアノは中央の四角の板敷に置かれ、舞手はその周り三方で参詣者の前を縫って踊る。着物をフォルム形成の一部に使っているが、少し違和感あり。後で松崎氏に聞くと、檀家の方々はダンスに慣れていなくて、目のやり場に困っていたらしい(前身頃を開いたりする仕草もあったので)。その後、佐藤氏の演奏。ショパンの『ノクターン』やリストの『愛の夢』、面白いところではスクリャービンの『左手のためのノクターン』を軽妙なトークを交えながら弾き、最後はショパンの『英雄ポロネーズ』で締めた。電子ピアノだが、ピアノだったらこういうニュアンスになる、または音色になると想像できる弾き方。特にショパンが素晴らしかった。ご住職の合図でアンコール。佐藤氏の弾く『越天楽』のような曲で、再び松崎氏が舞った。普通の公演と、奉納の演奏、舞では、演者は心持が違うのだろうか。見たところ、違うようには感じられなかった。佐藤氏は自在に動き、喋り、伴奏し、ソロ演奏し、松崎氏も自然体で伸びやかに舞っていた。お釈迦様の小さい像を前に、西洋出自の芸術が違和感なく納まっていた。
会場を移して昼食。春らしいお弁当、果物、和菓子、お茶、コーヒーを参加者というか檀家の方々と囲む。外は春の嵐だったが、仏像に見守られて、気持ちの良い時間を過ごした。