「ローザンヌ・ガラ2013」

2週間前になるが、標記公演を見た(8月18日 青山劇場)。
3部構成。1部2部は過去のローザンヌ受賞者と本年の受賞者によるガラ、3部はウーヴェ・ショルツ振付の『ラフマニノフピアノコンチェルト第3番」。これは2年前にアーキタンツ10周年記念公演で上演されたもので、出演者はほぼ同じ。ローザンヌ関連では西田佑子がファイナリスト、振付指導の木村規予香がプロフェッショナル賞を受賞している。
芸術監督は島崎徹。ローザンヌの審査員とコンテンポラリー課題曲振付家を歴任した。記憶に残っているのは、島崎が個性重視の審査をしていたこと。クラシックダンサーとしては少し欠点があっても、個性が光るダンサーを押していた(当然賞には残らなかったが)。今回の挨拶文でも、ピルエットのように数値化できる要素は、舞踊のほんの一部分である、という持論を展開している。島崎の意図は、プログラムに反映しているのだろうか。また群舞作品は島崎が振り付けるべきだったのではないか。日本のローザンヌ文化(コンクール文化)とは対極にある人物が芸術監督になったのは、皮肉なことである。
ダンサーとして技術と芸術的感覚が一致し、気力が備わっていたのは、『ジゼル』第2幕pddを踊った加治屋百合子とジャレッド・マシューズ(ABT)、『アスフォデルの花畑』第2楽章よりを踊った崔由姫と平野亮一(英国ロイヤル・バレエ)だった。古典とリアム・スカーレットによる新作(10年)の違いはあるが、細部まで教えられ振り付けられた上で、自ら磨き込んでいる。ダンサーの才能もさることながら、ダンサーを育てるバレエ団自体の力量を痛感した。新国立劇場バレエ団は数少ない公演回数で、小野絢子と米沢唯を育てなければならない。自分で育った森下洋子の後に続くことができるだろうか。