さいたまゴールド・シアター×瀬山亜津咲

標記二者によるワーク・イン・プログレスを見た(8月15日 彩の国さいたま芸術劇場大練習場)。
ピナ作品で見る瀬山は、いつも恥ずかしそう。とんでもない振付をエイッと飛び込んでやっている。真面目。自分に正直。苦しそうな時もあったが、不良青年のファビアン・プリオヴィーユが守ってくれた感じ(ファビアンは途中で退団したが)。
あまり期待せずに行ったら、凄かった。ゴールド・シアターの面々の凄さは演劇作品を見て知っていた。プロの役者にはない開き直り、剝き出しの欲望に、蜷川の仕込みで舞台人としての覚悟が備わっている。アマの経験+プロの稽古。引っ込み思案の瀬山がどう料理するのか、想像もつかなかったが、凄かった。瀬山の演出家としての力量が作品の端々から伝わってくる。音楽を含む構成力、ピースの組み合わせ、出し入れのタイミングに感動する。ピナの手法を取り入れているが、完全に自分のものになっているのは、俳優との関わりが作品化されていることから分かる。例えば共産党員であることをカミングアウトした男性。当初は「先生に申し上げるような夢はありません。」と言っていたのが、終盤、自分の半生を振り返り、「死ぬときは少しでも世のため人のために役立ったと思って死にたい」と夢を語った。瀬山の全身全霊を傾けたワークショップを想像させる。同時に、この一回性はプロのダンス・カンパニーでは生じにくいだろうとも思う(マンネリは避けられない)。
ゴールド・メンバーは踊りも踊る。経験者も散見されたが、全員が踊りになっている。その凄さ。ただしネクストの若者三人はまだまだ(何もないつるんとした体)。女性が一列に座って踊る手のダンス、胸を手で十字に抑え片脚上げポーズ、背を向けて座る動かないダンス、流線型のダンス、盆踊りダンス、阿波踊りダンス、ボールルームダンス(時々女性が上を向くと、男性が手で押さえる愛の仕草)、スパニッシュ、エア太鼓(小柄な女性がダンダンカツカツと叫びながら打ちマネする)、湯呑みソロ、猫ソロなど。

ここならではの企画。まず蜷川がいて、ゴールドという所属劇団があって、ピナ作品上演の歴史があって。稽古場等の設備も凄いが、何よりも人ありきなんだなあと思う。開場前に椅子に(!)座って並んでいたら、島地保武と宮河愛一郎が通って行った(もとNoismコンビ)。