野村真弓@現代舞踊新進芸術家育成project4「踊る」

現代舞踊協会主催、文化庁海外研修員による公演「踊る」を見た(11月14日 KAAT大スタジオ)。出演は清水フミヒト(H20年度アメリカ研修)、野村真弓(H19年度フランス研修)、米沢麻佑子(H18年度アメリカ研修)、二見一幸(H5年度フランス研修)。税金がどのように使われたかを知るうえで、意義深い公演だと思う(バレエ関係では、こういう企画はない)。
4人とも個性を発揮した作品作りだったが、唯一野村が違っていたのは、観客を身内と想定していない点。舞踊公演は大手を除いて、身内(親、友人、知人、関係者)が観客であることが多い。今回も例外ではなかったが、野村は一般の観客に向けて作品を作っていた。H・アール・カオスにいたことが理由の一つかもしれない。あるいは研修の成果か。
題は『Qualia』。本人と沼田志歩、長内裕美、菅原さちゑが踊る。途中、音楽に乗りすぎていると感じる部分もあったが、一つ一つの振りを一から考えている。しかも振付・フォーメイションに作為を感じさせなかった。それだけ考え抜かれ、練り上げられている。最後は現舞風フェイドアウトで終わった。ただし思い入れはなく、舞踏風に踊りながら。ダンサーたちは動きを全て自分のものにし、相互に有機的な関係を築いている。高いレヴェルで揃っていた。一人菅原が狂ったように踊っていて、じっと見てしまったが。どういう経歴だろうか。