コデマリスタジオ第50回「コデマリコンサート」2015

標記公演評をアップする。

コデマリスタジオ恒例の「コデマリコンサート」が、第50回を迎えた。第一部は『くるみ割り人形』。スタジオ主宰の大竹みかが師と仰ぐ、貝谷八百子ゆかりの演目である。第二部は小品を集めたコンサート。最後はレハールの『メリー・ウイドウ』を用いた『ジョイフル・ウイドウ』で、記念の会を締め括った。


第一部の『くるみ割り人形』は「クララの夢」と題し、真夜中の「戦い」から「雪の国」、「お菓子の国」、「終曲」まで、クララの経験を軸に描いていく。曲順を入れ換えるなど変更もあるが、音楽的には自然な仕上がりだった。


ドロッセルマイヤーには大竹の盟友、吉田隆俊を迎え、スタジオ生や貝谷の学園生、系列の生徒たちが総出演。幼児から大人まで、日頃の成果を精一杯披露するなか、吉田が悠々と舞台を仕切り、安藤雅孝、長谷川秀介、新井光紀、増田真也の常連ゲスト陣が献身的に脇を支えた。場をさらったのが、ねずみの看護婦さんの大竹。少しの登場で舞台が華やいだ。


第二部コンサートは9曲。大竹の新作は、ヴィヴァルディの『四季』による『ヴァイオリン・コンチェルト』だった。白いドレスの女性6人が、牧歌的な喜び、嵐のような激しさ、清澄な祈りを踊り継ぐ。振付、フォーメイションは音楽と完全に一致、さらに新鮮な感触を加えている。大竹固有の深い音楽性の表れだった。河邊優、壁谷まりえが、振付の勘所をよく伝えている。


5曲振付の安藤は、様々な人間模様を巧みに描き分けたが、幕開けの『大地の果てから』が野心作。白いドレスの大竹が、安藤、長谷川、新井、増田を従えて踊る。安藤が大竹を激しくリフトし、ソリッドでモダンなテイストの大竹像を見せることに成功した。


スタジオ出身の千田郁子による超セクシーな一人ルンバ、竹澤薫と竹原弘将による濃厚なアルゼンチンタンゴ、そして竹原を二人が取り合うカーテンコールは、粋な大人の味わい。コデマリスタジオの個性の一端である。


コンサートの締めは、大竹の思い入れ深い『ジョイフル・ウイドウ』。愛らしい未亡人を大竹、友人のマルグリートには懐の深い吉田が女装で扮する。共に気品のある舞台姿である。有名な「ヴィリアの歌」を大竹利一が熱唱し、教え子の秦万実がマミーナ役を情感たっぷりに演じた。最後は、民族衣裳を着たチャルダッシュの子ども達、出演者全員が大竹を囲んで、華やかな幕切れとなった。(4月5日 メルパルクホール) *『音楽舞踊新聞』No.2949(H27.6.1号)初出