冨田実里バレエ指揮デビュー 神奈川ブロック『ドン・キホーテ』

日本バレエ協会関東支部神奈川ブロックの自主公演で、女性指揮者の冨田実里がバレエ指揮のデビューを果たした。
作品は『ドン・キホーテ』、オケは俊友会管弦楽団
冨田は国立音大ピアノ専攻卒、桐朋学園大学の指揮教室にて堤俊作より学ぶ。ロームミュージックファンデーション音楽セミナー指揮者クラスで、小澤征爾、湯浅勇治、三ツ石潤司の指導を受ける。バレエのリハーサルピアニストとしては、日本バレエ協会『眠りの森の美女』『ジゼル』『卒業舞踏会』、新国立劇場バレエ団『アラジン』『シンフォニー・イン・C』『火の鳥』『ペンギンカフェ』『マノン』等を担当した(プログラムより)。
オケは時々、ホケッと管がフライングしたりしたが、冨田の明晰で情熱あふれる指揮に、情熱で応えていた。ダンサーをよく見たメリハリあるテンポが気持ちよく、冒頭から舞台に引き込まれた。カーテンコールは、男性主役がエスコート。なぜか胸がじんとした。
演出は大ヴェテランの横瀬三郎。勘所を押さえた構成、力みのない演出、高難度のソロ振付、活気あふれるアンサンブル振付と揃っている。主役の樋口ゆり、浅田良和の元Kバレエコンビも、技術はもちろんのこと、主役の成すべきことを心得たプロらしい舞台。桝竹眞也のドン・キホーテ、岩上純のサンチョ・パンサ、マシモ・アクリのガマーシュと贅沢な配役で、演技そのものを楽しめる充実した公演だった。(1月13日 神奈川県民ホール