岡登志子、中村恩恵『白い夜』

大野一雄フェスティバル2012」初演作品の再演(12月6日 シアターX)。舞台に客席を設営し、ダンサーが入り口から入って本来の客席で演技するパートがある。岡と中村の振付・演出でどこからがそうなのか判然としないが、演劇的なところは中村、振付は岡だろうか。中村は自作を踊る時とは明らかに動きの質が違う。手の内にはない動きに対して全力で向かっている感じ。骨太で真っ直ぐ。自作ではきれいに流すところを、武骨にがしがし踊っている。キリアンの『one of a kind』での主役ソロを思い出した。あの頃は粘液が流れ出るような密度の高い動きだったが。対する岡はダンサーには見えない。関西の品のよい奥さん。なぜ関西かと言うと、岡のクラスを見学していて、すっぱりした関西弁(地域は限定できず)に魅了されたから。動き自体の面白さはあるのに、実行の仕方が日常から離れていない。理由は分からず。いずれにしても、中村の本気が見えたことは収穫だった。