現代舞踊協会第34回「モダンダンス5月の祭典」

今回は日本スペイン交流400周年記念特別企画公演で、日本フラメンコ協会との共催。4回公演の二日目を見た(5月21日 東京劇術劇場プレイハウス)。最も心惹かれたのは、米沢麻佑子の『道』(2013年9月初演)。初演時と同じく師の黒沢輝夫と踊るはずだったが、直前の4月11日に亡くなられたため(享年86歳)、映像の黒沢と共演する追悼改訂版となった。
一本の道が照明で引かれる。そこを米沢が歩く。バックに黒沢の踊り。白髪の少し小柄な男性が、歩を進めながら身振りをする(踊っているのではない)。その一振り一振りが、人生の集積である。黒沢の肉体にしか立ち現れない動き、死の半年前にもかかわらず、人生を生きている。
黒沢輝夫は黒沢美香のお父さんということで知った。奥様(下田栄子)と仲良く並んでいるのを、あちこちの会場でお見かけした。また舞踊学会のフォーラム「近代舞踊とアーカイブス」で行われた石井漠の『山を登る』復元試演で、解説されていた姿を思い出す。映像では本当のところは分からないと言うが、この日最も惹きつけられた踊りだった。日本人の体のままで踊る洋舞。