フィリップ・ドゥクフレ『パノラマ』とコンドルズ

標記公演を見た(6月13日 彩の国さいたま芸術劇場大ホール)。『パノラマ』はこれまでの自作を再構成した作品。サーカスのような銀のアーチが二本、両袖には楽屋の化粧台が見える。変てこな行進や、強力ゴム(ロープ?)で吊られた男女の空中デュエットなど懐かしい。道化マチュー・パンシナのシルエット芸(手で動物を作る)を見ながら、そして変なコンタクトを見ながら、5月24日に同じ劇場で見たコンドルズを思わずにはいられなかった。
開演前、劇場のギャラリーでドゥクフレのカンパニーとコンドルズの同時写真展を見て、乗越たかおの両者を繋ぐ文章を読んだから、ではなく、劇場体験として。『パノラマ』がコント集のような構成なので、余計似ていると思ったのだろう。違う点は、コンドルズの『ひまわリ』がこの劇場に来る人のために創られたオリジナルであること。以前、新国立劇場オペラ部門の芸術監督だったトーマス・ノヴォラツスキーが、「このプロダクション(何か忘れた)は、新国立劇場に足を運ぶ皆さんのために創られたのです」と必死に強調していたのを思い出した。つまり来日公演を喜ぶ日本人の傾向を、何とか変えようとしていたのだ。
同じポエジーでも、ドゥクフレがフランス的な(?)エスプリの披露に終始するのに対し、近藤良平には常にペーソスを帯びた感情の拡がりがある。ドゥクフレの身体分割がバレエを基本とし、近藤はあらゆる体がOK、という図式と関係があるような気がする。