東京バレエ団創立50周年祝祭ガラ

標記公演を見た(8月31日 NHKホール)。マラーホフ、ルグリ、ギエムというNBSと関係の深いダンサーをゲストに迎えて、バレエ団が多彩なレパートリーを披露する。全体の印象は、ゲスト中心主義だった東バも、徐々に変わりつつあるのかなあというところ。沖香菜子がバレエ団を背負って立つような気がする。また、もう少し筋肉が欲しいが、梅澤紘貴が、東バでは珍しくアダージョを作れる男性ダンサーなので。二人はノイマイヤーの『スプリング・アンド・フォール』を踊った。見たことがあるような、ないようなと思いながら見ていたが、梅澤が前方に両腕を真っ直ぐに差し出し、そこに沖が後ろ向きに入るリフトを見て、見たことがあると思った。首藤康之が斎藤友佳理を、まるで板のごとく受け止めるショットが蘇ったので。音がしたような気がする。高岸直樹を除いて、サポートの上手い男性ダンサー(主役級)は少なかった。因みにこれと同じリフト(というかサポート?)は、クランコの『オネーギン』第3幕PDDでも見られた。ルグリと吉岡美香が踊ったが、オネーギンのニヒリズムはラテン系には難しいのではないか。マッキーの氷のような情熱が妥当な解釈に思える。個人的には、山本隆之に踊って欲しかった。酒井はなと。
ギエムは『ボレロ』を感じよく踊っていた。若い男の子たちを引き連れて、何か機嫌よく。体操少女のようだった。ホールを揺るがす拍手やブラボーを、素直に受け止め喜びながらも、どこか別の境地にいるような感じ。誠実な舞台だったと思う。