東京バレエ団『眠れる森の美女』2015

標記公演を見た(2月8日 東京文化会館)。2006年にベルリン国立バレエ団で初演されたマラーホフ版の導入。プロローグと第1幕、第2幕と第3幕をそれぞれ続けて上演し、休憩を挟んで2時間半の短縮版である。プロローグと第1幕の間に幕前で、カラボスとリラ、小さなオーロラが寸劇をするが(パノラマ使用)、確かハイデ版にあったような記憶がある。第3幕のシンデレラとフォーチュン王子のデュエット、アポテオーズでのカラボス登場は、ヴィハレフ復元版の影響かもしれない(ヴィハレフ版アポテオーズの雲間に、カラボスが顔を出していた記憶がある)。オーロラは薔薇の棘に刺されて眠る設定に変更されている。しかし、カラボスの予言後も薔薇の生け垣が舞台に残されているので、破綻していると言えば言える。
オーロラの川島麻実子は丁寧で、少し和風の感じ。きっちりした先生に教えられてきたことが分かる。デジレの岸本秀雄は、ややカジュアル。元気の良い青年タイプに見えた。沖香菜子のパッショネットなカナリアの精も目立ったが、最も驚かされたのは、河谷まりあサファイアオペラ座の脚だった(ハンブルク・バレエ学校だけど)。無意識に踊ってしまう脚。キトリの友人の時、バジルとぶつかったのを見たが、さもありなん。なにしろ踊ってしまうので。オーロラ友人のアンサンブルでも一人、踊りがずれていた、と言うか、本当に踊っていた。怪我で降板したジュリエットも、踊っていればすごく良かっただろう。何をやらかすか、楽しみなダンサー。