アイザック・イマニュエル『風景担体〜LANDSCAPE CARRIER』@TPAM

標記公演を見た(2月13日夜 横浜・BankART Studio NYK 1F kawamata hall)。前回はSTスポットの狭い空間で、至近距離から動きを見ることができたが、今回は、簀子を壁面、天井にぎっしり敷き詰め、荷重(坪)20tと赤書きされた巨大な2本の柱が突っ立った空間である。消臭されているとは言え、物質が体全体に迫ってくる。柱の間から(中央部カミテ寄り席)、映像と、四角く切られた土間での動きを見る。
作品は4部から成る(部ではなく跡、trace と表示)。イマニュエルが過去に作った作品を構成したもので、映像の「遺棄された衣服を着る男」、「背負った鏡で風景を見せる男」、「長靴を背負う女」(福島麻梨奈と共作)、「荷物を背負って歩く男」を、それぞれ生身のイマニュエル、生実慧、福島麻梨奈、安藤朋子がソロで引き継ぐ形式だった。中央土間のソロと同時に、脇でも別の人がうっすらと動く(見えなかったりする)。ほとんどが向こう向きか横向きのうつむいた動き。安藤のみが正面の印象を与える。さらに言えば演技をしている。
跡4では、荷物を運び、自ら荷物となって横たわる安藤に、他の3人が簀子を背負って加わり、荷物の上に倒れ込む。さらに簀子を横長に立てて、こちらへと乗り越え、向き直って、安藤もろとも奥へと荷物を押しやる。最後は4人が向こう向きの幽霊立ちで、フェイドアウトした。
動きで印象に残るのが、跡1のイマニュエルのブリッジと、動きの寸止め。白井剛を思い出す。さらに終幕の簀子越え。最近「ダンスがみたい!新人シリーズ」で、ベテラン貞森裕児の素晴らしい梯子逆さ下りを見たばかりだが、それに匹敵する逆さ体だった。
シークエンスとしては、元倉庫の空間と呼応する簀子の終幕が圧倒的に生きていた。1時間物も作れそうだ。演出に寸分の狂いもなく、美意識に溺れることもなく、ストイックに身体追求する真面目な作品だったが、空間が凄すぎた。どうしてもミニマルな感じが残る。映像は跡4がミステリアスで面白かった。
もう一つ違和感があったのが、福島以外は土足だったこと。コンクリートの土間だから? 運ぶ人だから? ここに西洋人だから?を持ってくるのはおかしいだろうか。土足の舞踏の体。隔靴掻痒の感があるが、何か別の局面に至るのだろうか。