ダンス

新国立劇場バレエ団「ニューイヤー・バレエ」2019

標記公演を見た(1月12, 13, 14日 新国立劇場オペラパレス)。フォーキン振付『レ・シルフィード』、中村恩恵振付『火の鳥』、フォーキン振付『ペトルーシュカ』というバレエ・リュス・プログラムである。それぞれ、黒一点のロマンティック・スタイル、紅一…

12月に見た公演 2018

2018年12月に見た公演について短くメモする。 ●勅使川原三郎『月に憑かれたピエロ』(12月1日 東京芸術劇場 プレイハウス) 『月に憑かれたピエロ』は「ラ・フォル・ジュルネ」(11年)で見ている。今回は勅使川原らしい水際立った美術と照明が加わり、ダン…

2018年公演総括

2018年の洋舞公演を振り返り、印象に残った振付家・ダンサーを列挙する(含2017年12月)。 [バレエ] 最もインパクトが強かったのは、Kバレエカンパニー芸術監督で振付家の熊川哲也。前年の『クレオパトラ』でも予感はあったが、2月の新作短編『死霊の恋』…

11月に見た公演 2018

11月に見た公演について短くメモする。 ●伊藤郁女・森山未来 『Is it worth to save us?』 (11月1日 KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ) 伊藤が実父と踊る作品『私は言葉を信じないので踊る』を見ることができなかったので、同じ彩の国さいたま芸術劇場で制作…

10月に見た公演 2018

10月に見た公演について短くメモする。 ●北村明子 『土の脈』 (10月14日 KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ) 『土の脈』という題名だが、スタイリッシュでいかにも北村らしい作品。東南〜南アジアの土地からインスピレーションを得たにもかかわらず、雪のツリ…

日本バレエ協会「バレエクレアシオン」 2018

標記公演を見た(11月17日 メルパルクホール)。文化庁「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」の一環である。フリーの振付家にとって、バレエダンサーに振り付けられる絶好の機会。これまで協会員だけでなく、様々な分野で活躍する振付家が参加してきた…

Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 「トリプル・ビル」 2018

標記公演を見た(9月2日 横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール)。フェスティバル・ディレクター ドミニク・エルヴュのコンセプトによるヒップホップ系トリプル・ビル。ジャンヌ・ガロワ振付『リバース』、東京ゲゲゲイ、Ryouta Takaji振付『東京ゲゲゲイ女学…

星野幸代著『日中戦争下のモダンダンス』(汲古書院、2018.2.6)

星野の専門は近現代中国文学と近現代中国舞踊史。概略をメモする。 【第一章】民国期中国におけるモダンダンスの受容。 【第二章】植民地時代の台湾の舞踊家、蔡瑞月と李彩娥の活動を、朝鮮の崔承喜の影響を視野に入れつつ考察。蔡は石井漠舞踊学校から石井…

Noism01『ROMEO&JULIETS』 2018

標記公演を見た(9月14日 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール)。演出振付は芸術監督の金森穣。本拠のりゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館で3回、富山市オーバートホールで1回、今回共演した俳優達(SPAC)の本拠 静岡芸術劇場での2回公演を経た、埼玉公演3…

8月に見た振付家 2018 伊藤/宝満/貝川/中村 【追記あり】

8月に見た振付家について、短くメモする。その前に、今夏のガラ等で印象に残ったダンサーを振り返りたい。まずは「バレエ・アステラス」に出演した相澤優美(ジュネーヴ大劇場バレエ団)。知的なダンサーで、振付の本質を瞬時に見抜くことができる。動きそ…

日本バレエ協会 「全国合同バレエの夕べ」 2018 ①

文化庁及び日本バレエ協会主催「全国合同バレエの夕べ」が二日間にわたり開催された(8月3,4日 新国立劇場オペラパレス)。文化庁次代の文化を創造する新進芸術家育成事業の一環である。今年は日本バレエ協会創立60周年に当たり、13支部、本部・東京地区全て…

日本バレエ協会 「全国合同バレエの夕べ」 2018 ②

二日目幕開けは、関東支部『In the air』(振付:青木尚哉)。フィリップ・グラスの『奔馬』を使用、ミニマルに陶酔する音楽を18人の女性ダンサーが踊る。黒のレオタードからカラフルなドレスへの変身あり。中腰での前傾、床を使った動きに、バレエのパを…

7月に見た振付家・ダンサー 2018 ブルメイステル/柳下・藤井/ショルツ/ブルジョワ

7月に見た振付家・ダンサーについて、短くメモする。 ●ウラジーミル・ブルメイステル @ 東京バレエ団 『白鳥の湖』 (7月1日 東京文化会館) ブルメイステル版『白鳥の湖』は1953年モスクワ音楽劇場で初演。パリ・オペラ座やミラノ・スカラ座でも上演され…

アキコ・カンダ ダンスカンパニー『哀が散る』 2018

標記公演を見た(6月27日昼 東京芸術劇場シアターウエスト)。プログラムは『灰色の輝くとき』(カンパニー初演70年)と『哀が散る』(93年)のダブル・ビル。前者は、アキコがアメリカから帰国後に指導を始めた宝塚歌劇団で上演された。レパートリーの中で…

能藤玲子@「モダンダンス 5月の祭典」 2018

現代舞踊協会主催「モダンダンス 5月の祭典」で能藤玲子作品を見た(5月22日 めぐろパーシモンホール)。能藤は1931年網走市生まれ。藤間流杵屋之冨、石井漠門下古谷睦子に師事した後、51年から59年まで邦正美に師事。同年札幌市に「能藤玲子創作舞踊研究所…

神村恵@「ぴちぴちちゃぷちゃぷらんらんらん」 2018

標記公演は、日本女子体育大学ダンス・プロデュース研究部主催のコンテンポラリーダンス公演(5月11日 あうるすぽっと)。コンテンポラリーダンスの現役振付家を招聘し、同大舞踊学専攻生がダンサー、裏方全般を担う。11回目に当たる今回は、白神ももこ、神…

バレエシャンブルウエスト「トリプル・ビル」 2018

標記公演を見た(5月13日 オリンパスホール八王子)。第82回定期公演に当たり、ジョン・ヘンリー・リード振付『Through their eyes』、今村博明・川口ゆり子振付『バレルのアマデウス』、同じく今村・川口振付『新・おやゆび姫』というプログラム(上演順)…

山崎広太 @ whenever wherever festival 2018 「そかいはしゃくち」

山崎広太主宰のボディ・アーツ・ラボラトリーが、8回目の whenever wherever festival を開催した(4月26日-29日 北千住BUoY)。山崎企画のBALパフォーマンス・プログラムに加え、4人のキュレーターがそれぞれの企画を持ち寄る形式。キュレーターには、ダ…

2月に見た振付家・作曲家 2018

2月に見た振付家等について短くコメントしたい。 ●ノイマイヤー @ ハンブルク・バレエ団 『椿姫』 「ジョン・ノイマイヤーの世界」 (2月4.7日 東京文化会館) 『椿姫』を見るといつも複雑な気分になる。マノンとデ・グリューの場面は必要だろうか。特に黒…

Kバレエカンパニー 「NEW PIECES」 2018

標記公演を見た(2月27日 オーチャードホール)。全て新作の創作集である。振付家は芸術監督の熊川哲也、ゲスト振付家の渡辺レイ、同じく山本康介、バレエ団プリンシパルの宮尾俊太郎。音楽は全曲19世紀に書かれたクラシックで、しかもオーケストラの生演…

下島礼紗 『sky』 @ 横浜ダンスコレクション2018

標記公演を見た(2月3日 横浜にぎわい座 のげシャーレ)。横浜ダンスコレクション2018「ダンスクロス|アジアセレクション」トリプル・ビルの1作である。 暗やみのなか「痛い、痛い」という声と共に何かを叩く音が聞こえる。明るくなると、紙オムツを付けた…

ジェローム・ベル 『Gala―ガラ』 2018

標記公演を見た(1月20日 彩の国さいたま芸術劇場大ホール 上演時間90分)。初演は2015年ブリュッセル、その後ドイツ9都市、フランス19都市、オーストリア2都市、ポルトガル1都市、カナダ2都市、スイス6都市、アメリカ2都市、シンガポール1都市、ノ…

川口隆夫『大野一雄について』2017

標記公演を見た(12月3日 彩の国さいたま芸術劇場 小ホール)。本作は2013年にd-倉庫「ダンスが見たい」で初演、その後、国内のみならず世界各国で上演を重ねてきた。彩の国では関連プログラムとして、川口のワークショップ(本作の制作過程を体験)、ギャラ…

2017年公演総括

2017年の洋舞公演を振り返り、印象に残った公演・ダンサーを列挙する(含2016年12月)。 [バレエ] 新制作では、Kバレエカンパニーの『クレオパトラ』が抜きん出ている。企画・構成・演出・振付・台本は熊川哲也。記録の少ない歴史上の人物を主人公に、一か…

日本バレエ協会 「バレエクレアシオン」 2017

標記公演を見た(11月11日 メルパルクホール)。文化庁次代の文化を創造する新進芸術家育成事業の一環で、優れた振付家育成のための企画公演。同趣旨の「バレエ・フェスティバル」から数えると56回目の開催となる。所属団員を対象とした振付家育成は、新国立…

10月に見た公演 2017

10月に見た公演について、短くメモする。 ●第19回早川惠美子・博子バレエスタジオ公演(10月21日 メルパルクTOKYO) プログラムは、早川惠美子振付『シンフォニーNo.8』、間宮則夫振付『ダンスパステル』、早川(惠)改訂、溝下司朗監修『ライモンダ』より第…

 9月に見た公演・美術展・トーク 2017

9月に見た公演等について、短くメモする。 ●東京バレエ団「20世紀の傑作バレエ」(9月9日 東京文化会館) プログラムはキリアンの『小さな死』(91年)、プティの『アルルの女』(74年)、ベジャールの『春の祭典』(59年)。前2作はバレエ団初演、さら…

フォーサイス×トリシャ・ブラウン 2006年

共演した訳ではなく、両者のダンスカンパニーが同じ彩の国さいたま芸術劇場で、時を置かずに公演を行なったので。両公演評をアップする。 ●フォーサイス・カンパニー ウィリアム・フォーサイスが新カンパニー結成後、初の来日公演を行なった。50分スタンデ…

島地保武×環 ROY 『ありか』 2017

標記公演を見た(9月8日 KAAT神奈川芸術劇場大スタジオ)。「KAAT Dance Series 2017」の一環で、企画・制作は愛知県芸術劇場。 出演はダンサーの島地保武、ラッパーの環 ROY。コラボのきっかけは、環がワイングラスをグーで握ったのを、島地が目撃したこと…

現代舞踊協会夏期舞踊大学講座2017 「モダンダンスの巨星 マーサ・グレアム」①

標記講座が二日間にわたって開催された(8月27,28日 国立女性教育会館)。講師は木村百合子、竹屋啓子、山野博大、スペシャルゲストに折原美樹。一日目は、全体進行を務める妻木律子の司会で、開講式から始まる。現代舞踊協会研究部担当常務理事 正田千鶴の…