2017-01-01から1年間の記事一覧

7,8月に見たダンサー・振付家・俳優 2017

7,8月に見たダンサー・振付家・俳優について、短くメモしておきたい。 ●柳下規夫&正田千鶴 @ 東京新聞「第44回現代舞踊展」(7月15日 メルパルクホール) 共演したわけではなく、それぞれが作品を発表。柳下は踊ってもいる。柳下の踊りの特徴は、アー…

日本バレエ協会 「全国合同バレエの夕べ」 2017

標記公演を見た(8月1,3日 新国立劇場オペラパレス)。平成29年度・文化庁「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」の一環。全国各地の支部所属ダンサーにとっては、オーケストラ演奏で踊る機会が、新進振付家にとっては、創作の場が与えられる貴重な公演…

島地保武 @ KAAT 『不思議の国アリス』 2017

標記公演を見た(7月26日 KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオ)。演出・振付・美術(森山開次)、テキスト(三浦直之)、衣裳(ひびのこづえ)、音楽(松本淳一)、照明(櫛田晃代)が一体となった、高レベルのキッズ・プログラムである。中でも、言葉遊び満載の…

大植真太郎 @ d-倉庫 「ダンスがみたい! 19 『白鳥の湖』」 2017

標記公演は、10組のダンサーがバレエ『白鳥の湖』をモチーフに創作する企画。昨年の「エリック・サティ」は曲が広範囲にわたり、一昨年の『春の祭典』は全曲を加工することなく使う、という難しさがあった。今回は『白鳥』の音楽、または物語をどのように…

井上バレエ団 「ブルノンヴィルからプティパまで〜バレエの潮流」 2017 【追記】

標記公演を見た(7月16日 文京シビックホール)。長年ブルノンヴィル作品を上演し、ブルノンヴィル・セミナーを開催してきた井上バレエ団が、「ブルノンヴィルからプティパまで」と題した興味深い公演を行なった。振付・指導は、バレエ団と33年に及ぶ深い…

チャコット 『バレエ・プリンセス』 2017

標記公演を見た(7月20日 新宿文化センター)。主催のチャコットは、バレエ・ダンス用品の製造販売、ダンススタジオの運営を基盤に、舞踊公演の後援、舞踊史講座の開催、ウェブ・マガジン等でダンス文化の一翼を担ってきた。企画・制作した『バレエ・プリン…

6月に見たミルタ―本島美和と矢内千夏 2017

6月にボリショイ・バレエを含め、数人のミルタを見た。瞠目させられたのは新国立劇場バレエ団の本島美和と、Kバレエカンパニーの矢内千夏。ベテランと若手という対照性に留まらず、アプローチの仕方にも大きな違いがあった。 本島については別項(7/8付)…

谷桃子バレエ団 「Contemporary Dance Triple Bill」 2017

標記公演を見た(7月2日昼 かめありリリオホール)。演目は、島地保武振付『セクエンツァ』、柳本雅寛振付『Nontanz』、広崎うらん振付『Pêches』。かねてよりコンテンポラリー・ダンスに意欲を見せていた新芸術監督 郄部尚子のヴィジョンを反映した公演であ…

新国立劇場バレエ団 『ジゼル』 2017

標記公演を見た(6月24日昼夜.26日,7月1日 新国立劇場オペラパレス)。4年ぶり5回目のセルゲーエフ版『ジゼル』である。98年初演時には、二幕ジゼルはすっぽんで出入りを行ない、ミルタは台車に乗って飛翔した。恐らく06年の3回目から、現行に変わってい…

バレエシャンブルウエスト 「トリプル・ビル」 2017

標記公演を見た(6月18日 オリンパスホール八王子)。恒例のトリプル・ビルは、『ドン・キホーテ』第3幕よりグラン・ディベルティスマン、田中祐子振付『heads or tail(表と裏)』、今村博明・川口ゆり子振付『四季』という構成。古典バレエ、モダン創作、…

チェルフィッチュ 『部屋に流れる時間の旅』 2017

標記公演を見た(6月22日 シアタートラム)。作・演出は岡田利規。ジャンルとしては演劇だが、ダンスを見たような感触が残った。身体に注視させられたこと(特に吉田庸)、ピエタのようなフォルムが形成されたこと(立ち位置は男女逆)、光るものと回るもの…

牧阿佐美バレヱ団『ドン・キホーテ』2017

標記公演を見た(6月10,11日 文京シビックホール)。演出・振付はアザーリ・プリセツキーとワレンティーナ・サーヴィナ。1989年の導入以来、再演を重ねる重要なレパートリーである。プリセツキー版の特徴は、幕ごとのカーテンコールが残され、昔ながらの劇場…

ボリショイ・バレエ『ジゼル』『白鳥の湖』『パリの炎』2017

標記公演を見た(6月4昼,7,14日 東京文化会館)。元マリインスキー・バレエの芸術監督だったマハール・ワジーエフが、ボリショイ・バレエの監督になって初めての来日公演。『ジゼル』(87年)と『白鳥の湖』(01年改訂)は伝統のグリゴローヴィチ版だが、『…

セルゲイ・ヴィハレフを追悼する2017

マリインスキー・バレエの元ファースト・ソリストで、同団の指導者、ノヴォシビリスク・バレエの芸術監督を務めたセルゲイ・ヴィハレフが、6月3日、55歳の若さで急逝した。氏の功績は、舞踊譜によるプティパ作品の復元を本格化させたことにある。マリイ…

Noism01 『Liebestod』2017

標記公演を見た(6月2日 彩の国さいたま芸術劇場大ホール)。金森穣の新作『愛の死』と、山田勇気振付のNoism2レパートリー作品『Painted Desert』(14年)によるダブル・ビル。 金森の新作『愛の死』は、ワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』の前奏曲と、…

「木下晋展 表現の可能性」2017【追記】

標記個展を見た(6月1日 ギャラリー枝香庵7・8F)。木下は鉛筆のみで対象の実存に肉薄する特異な画家である。最初見たときはその濃密さに、鉛筆で描いたとは思えなかった。いわゆるデッサンではなく、鉛筆が表現手段として選ばれている。真っ黒な画面は、線…

Kバレエカンパニー『海賊』2017

標記公演を見た(5月27日 オーチャードホール)。2007年初演の熊川哲也版。その特徴は独自の選曲にある。アダンを中心に、歴代の追加作曲家、オルデンブルク公爵、プーニ、ドリーブ、ミンクス、ドリゴの、バレエ音楽、劇音楽から構成されている。中でも印象…

NBAバレエ団『葉は色褪せて』『真夏の夜の夢』2017

標記公演を見た(5月20日13時 新国立劇場中劇場)。米国で活躍した英国人振付家によるダブル・ビルである。チューダーの『葉は色褪せて』は、75年ABTで初演(ドヴォルザークの弦楽四重奏・ピアノ三重奏を使用)。4つのパ・ド・ドゥを中心にソリスト・アンサ…

新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』2017

標記公演を見た(5月5,7,12,13日 新国立劇場オペラパレス)。同団は、97年の開場記念公演でK・セルゲーエフ版『眠れる森の美女』を導入、07年まで再演を重ねている。7年の空白後、大原永子芸術監督の就任初公演として、ウエイン・イーグリング版を新制作し…

ローザス『Fase』2017

標記公演を見た(5月2日 東京芸術劇場プレイハウス)。もう一つの『Vortex Temporum』は都合で見られず。振付家でローザス主宰のアンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルは、ムードラとNYのティッシュ・スクール・オブ・ザ・アートダンス出身。NY留学中に…

4月に見た振付家2017

4月に見た振付家について、短くメモしておきたい。●ケネス・グレーヴ@フィンランド国立バレエ団(4月23日夕 オーチャードホール) 作品は、『シェヘラザード』よりグラン・パ・ド・ドゥと、『たのしいムーミン一家』。前者はフォーキン版とは異なり、シャ…

4月に見たダンサー2017

4月に見たダンサーの中から、印象に残った2人について短くメモしておきたい。●荒井成也@井上バレエ団『ナポリ』第3幕から(4月8日 NHKホール) 「NHK バレエの饗宴2017」の一環。荒井はフリーを経て、14年井上バレエ団に入団。主役・ソリスト役を踊り、1…

3月の公演から2017

●Kバレエカンパニー『ピーター・ラビットと仲間たち』&『レ・パティヌール』(3月17日 オーチャードホール) 本来はアシュトンのダブル・ビルだったが、間に渡辺レイ・熊川哲也振付による新作『Fruits de la passion〜パッションフルーツ』を挟んだトリプ…

ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団『カーネーション』2017【追記】

標記公演を見た(3月16日 彩の国さいたま芸術劇場)。ヴッパタール舞踊団の来日は3年ぶり。演目は1982年初演、1989年日本初演の『カーネーション』(未見)である。舞台一面にピンクのカーネーションが屹立し、その上を縫うようにダンサー達が歩く。例によ…

中村恩恵×新国立劇場バレエ団『ベートーヴェン・ソナタ』2017

標記公演を見た(3月19日 新国立劇場中劇場)。中村恩恵が同バレエ団に新作を振り付けるのは、2013年の『Who is “Us”?』以来。一晩物は初めてである。中村の緻密な演出、音楽性、感情と連動する振付術の全てが十全に発揮された力作。レパートリー化しうる骨…

山崎広太『ふるはらひれふれれる』@井上バレエ団

標記公演のゲネプロを見た(3月18日 メルパルクホール)。井上バレエ団「アネックスシアター 次世代への架け橋 vol.4」(芸術監督:石井竜一)で上演された4作品のうちの一つ。他は、関直人『星座』、佐多達枝『a fig leaf』、石井竜一『ケーナ』。ゲネプロ…

『薄井憲二バレエ・コレクション』の逸品を訪ねて@ダンスキューブ・カフェ2017

標記展示を見た(3月11日)。兵庫県立芸術文化センターが所有する『薄井憲二バレエ・コレクション』は、東京在住者にとって、なかなか目にすることのできない貴重なコレクションである。以前、ニューオータニ美術館での展覧会に足を運んだことがあるが、バレ…

ルドルフ・ヌレエフ『Bournonville Ballet Technique』序文

パリ・オペラ座バレエ団評(3/19付)で、標記文から一部引用した。ブルノンヴィル派の受容とその意味について簡潔に書かれているので、全文を引用する。同書は Vivi Flindt と Knud Arne Jurgensen が、ブルノンヴィルの50のアンシェヌマンを選択・再構成…

パリ・オペラ座バレエ団『ラ・シルフィード』「グラン・ガラ」2017

標記公演を見た(3月2, 11日 東京文化会館)。3年ぶりの来日公演。その間、芸術監督が2人代わった。ブリジット・ルフェーブルからバンジャマン・ミルピエ、そして今季からのオレリー・デュポンである。プログラムはラコット版『ラ・シルフィード』(72年)…

NBAバレエ団『ロミオとジュリエット』2017

標記公演を見た(2月26日 東京文化会館)。振付はマーティン・フリードマン。83年にタンパ・バレエ(中島伸欣、パトリシア・レンゼッティ)で初演され、その後コロラド・バレエでも上演された(03年久保綋一、シャロン・ウェイナー)。フリードマン版の特…