2016-01-01から1年間の記事一覧

Noism『ラ・バヤデール』2016

標記公演を見た(7月1日 KAAT神奈川芸術劇場 ホール)。新潟3公演を経て、神奈川3公演、続いて兵庫2公演、愛知1公演、静岡2公演、鳥取1公演と、全国を回る。演出:金森穣、脚本:平田オリザ、振付:Noism1、音楽:ミンクス、笠松泰洋、空間:田根剛、…

英国ロイヤル・バレエ団『ロミオとジュリエット』『ジゼル』2016

標記公演を見た(3月29、31日 ロイヤル・オペラハウス / 6月18、22、24、26日 東京文化会館)。配役は日程順に、オシポワ(G)とゴールディング(A)、ヌニェス(G)とムンタギロフ(A)、オシポワ(J)とゴールディング(R)、ヌニェス(G)とムンタ…

山崎広太『Ne ANTA』+『感応する身体』+『暗黒計画1』2015-16

標記公演評をアップする。 ARICA+山崎広太『Ne ANTA』(2015年11月5日 シアタートラム) 演劇集団ARICAと舞踏の山崎広太が、ベケット原作『Ne ANTA』を再演した。初演は2013年森下スタジオ。演出の藤田康城は、ベケットのテレビ用脚本(66年BBC)を舞台化す…

新国立劇場バレエ団『アラジン』2016 (2)

標記公演を見た(1の続き)。配役で最も驚いたのは、井澤駿のジーン。元々ビントレーは本来のジーン像とは反対に、小柄で個性の強いダンサーをイメージして振り付けをした(早い回転技、細かいステップの連続)。初演の吉本泰久や再演の福田圭吾はこのタイ…

片桐はいり@『赤い靴』Dance New Air 2014

標記公演評をアップする。本日(2016.7.2)放映された、NHKEテレのスイッチインタビュー「片桐はいりVS甲野善紀」に感動したため。甲野は片桐を「五指に入るほど、誠実な人」と語った。 「ダンストリエンナーレトーキョー」を引き継いだ「Dance New Air」の…

新国立劇場バレエ団『アラジン』2016 (1)

牧阿佐美芸術監督時代、デヴィッド・ビントレー前監督が、同団に初めて振り付けた作品。2008年初演時には、カール・ディヴィスのカラフルな音楽(宝石組曲、5音音階の懐かしいメロディなど)と、それを完璧に視覚化し、精緻でウイットに富んだ演出を施した…

山崎広太『暗黒計画1』2016

標記公演評が、『ダンスワーク』74号に掲載されました。 特集「舞踊批評―透視するものとは」にも短文を書いています。他に萩谷京子、まつざきえり、大倉摩矢子、三浦太紀によるエッセイ、深谷正子による堀切敍子氏追悼文、長谷川六編集長によるコラム「知と…

バレエシャンブルウエスト「トリプル・ビル」2016

標記公演を見た(6月19日 オリンパスホール八王子)。八王子を拠点とするバレエシャンブルウエストの地域密着型公演。今回は、前回の舩木城作品に続き、田中祐子の新作を地元の人々に紹介する。創作に力を入れる同団らしい企画である。メインは日舞とバレエ…

鈴木忠志×中村雄二郎『劇的言語』増補版

標記対談集を読み終えた(2016年6月15日)。昨年末、SCOTの公演時に購入し、少し読みかけて積んでおいたのを、ようやく読み終えたのだ。長年続いた様々なことが終わり、脳がリセットされたため。 『劇的言語』自体は1977年に白水社から刊行、増補版は1999年…

阪本順治『団地』2016

標記映画を見た(6月10日14:50 新宿シネマカリテ)。見終えたあと、ボーっとした。人間、生と死、がまるごとそこにある。そして何よりも監督が役者を愛している。自分の映像美学を優先するために役者を駒のように扱う監督、とは対極にある阪本監督が、同時代…

ボリショイ・バレエ in シネマ『ジゼル』2016

標記映画を見た(6月4日 ル・シネマ1 2015年10月収録)。グリゴローヴィチ版『ジゼル』は初めてだった。主な改訂は、貴族とお供の者がステップを踏みながら登場する点。貴族の優雅な行進は、グリゴローヴィチの好むところだが、演劇的必然性がなく、ドラマ…

浄智寺・東慶寺・円覚寺@北鎌倉2016

北鎌倉に所要があり、そのついでに標記寺院に行った(6月5日)。浄智寺は、小津安二郎旧宅が近いという理由で行く(旧宅も探したが、分からなかった、目印の小倉遊亀宅までは分かった)。東に面しているため、西日が当たらず、苔むしている。上り坂をぐるっ…

日本バレエ協会『眠れる森の美女』2016

標記公演評をアップする。 日本バレエ協会が都民芸術フェスティバル参加作品として、K・セルゲーエフ版『眠れる森の美女』を上演した。同版の特徴は、マイムを舞踊化し、音楽性や詩情を重視した点にある。ヴィハレフ復元版や英国系の版よりも登場人物が少な…

新国立劇場バレエ団「DANCE to the Future 2016」

標記公演評をアップする。 新国立劇場バレエ団が恒例の団員創作公演「DANCE to the Future」を開催した。今回は、団のオリジナル作品『暗やみから解き放たれて』(J・ラング振付、14年)を組み合わせた3部構成。舞台を小劇場から中劇場に移している。アド…

NBAバレエ団『死と乙女』2016

標記公演を見た(6月29日13時 北とぴあ)。3本立てで、どれにも和太鼓が入っている。公演としては「和太鼓とバレエの饗宴」といった趣。興味深かったのは、林英哲の太鼓が洗練され、直のエネルギーを感じさせなかったことである。4人の弟子たちも、和太鼓…

柳下規夫×能藤玲子@現代舞踊協会

標記の二人が共演した訳ではなく、ここ2回の現代舞踊協会公演で、衝撃を受けたダンサー兼振付家を並べたのだ。柳下規夫は「男たちが描く愛と調和の時代」(3月17日 東京芸術劇場プレイハウス)、能藤玲子は「モダンダンス5月の祭典」(5月20日 めぐろパー…

アキコ・カンダ・ダンスカンパニー『愛のセレナーデ』2016

標記公演を見た(5月15日16時 東京芸術劇場シアターイースト)。カリスマ・ダンサーだったアキコ・カンダが亡くなり、残された高弟たちが、そのレパートリーを守ると同時に、新作を発表している。構成・演出の市川紅美は、ジャック・ルーシェ編曲のバッハで…

新国立劇場バレエ団『ドン・キホーテ』2016

標記公演を見た(5月3、4、5、7日 新国立劇場オペラパレス)。改訂振付はアレクセイ・ファジェーチェフ。ゴルスキー版の流れを汲む簡潔な演出。あまり辻褄合わせをせず、キャラクター色の強い踊りと古典バレエの見せ場を、ダイナミックに繋ぐ(辻褄が合い、1…

チョン・ヨンドゥ『無・音・花』@横浜ダンスコレクション2016

標記公演評が、『ダンスワーク』73号に掲載されました。特集は「1970年代日本のダンス」。高島史於、ケイタケイ、日下四郎、長谷川六他のエッセイと、高島撮影の写真(矢野英征、三浦一壮、藤井友子、畑中稔、花柳寿々紫、大駱駝艦、大野慶人、土方巽、芦川…

山川冬樹×山崎広太『感応する身体』@whenever wherever festival 2015

標記公演評が、『ダンスワーク』73号に掲載されました。特集は「1970年代日本のダンス」。 高島史於、ケイタケイ、日下四郎、長谷川六他のエッセイと、高島撮影の写真(矢野英征、三浦一壮、藤井友子、畑中稔、花柳寿々紫、大駱駝艦、大野慶人、土方巽、芦川…

新国立劇場バレエ団『ラ・シルフィード』2016

標記公演評をアップする。 新国立劇場バレエ団が13年ぶりにブルノンヴィル版『ラ・シルフィード』を上演した。同版はデンマーク・ロイヤル・バレエ団の初演以来、多少の変遷はあるにしても、途切れることのないレパートリーで、19世紀ロマンティック・バレエ…

新国立劇場バレエ団『ホフマン物語』2015

標記公演評をアップする。 新国立劇場バレエ団の新シーズンが開幕した。演目はピーター・ダレル版『ホフマン物語』(72年、STB)。プロローグ・エピローグ付き、全三幕のグランド・バレエである。 作品はオッフェンバックのオペラ『ホフマン物語』を母胎…

アイザック・イマニュエル『風景担体〜LANDSCAPE CARRIER』@TPAM

標記公演を見た(2月13日夜 横浜・BankART Studio NYK 1F kawamata hall)。前回はSTスポットの狭い空間で、至近距離から動きを見ることができたが、今回は、簀子を壁面、天井にぎっしり敷き詰め、荷重(坪)20tと赤書きされた巨大な2本の柱が突っ立った…

谷桃子バレエ団『眠れる森の美女』2016

標記公演評をアップする。 谷桃子バレエ団が恒例の新春公演を行なった。演目はバレエ団初の『眠れる森の美女』。演出・振付は昨年の『海賊』に引き続き、元キーロフ・バレエのプリンシパル、エルダー・アリエフ、監修は同じくイリーナ・コルパコワである。 …

日本バレエ協会関東支部神奈川ブロック『白鳥の湖』2016

標記公演評をアップする。 日本バレエ協会関東支部神奈川ブロックが、第32回自主公演として『白鳥の湖』全四幕を上演した。演出は橋浦勇。同ブロックにはこれまで『シンデレラ』と『眠れる森の美女』を振り付けている。今回の『白鳥の湖』は、氏の舞踊美学の…

松崎すみ子バレエ公演『幻覚のメリーゴーランド』2016

標記公演評をアップする。 バレエ団ピッコロ主宰の松崎すみ子が、8年ぶりに個人のバレエ公演を催した。『幻覚のメリーゴーランド』、『鳥』(共に94年)の再演に、松崎えりのコンテンポラリー作品『vulcanus』を加えた創作集である。 『幻覚のメリーゴーラ…

テアトル・ド・バレエ・カンパニー深川秀夫版『コッペリア』2016

標記公演評をアップする。 名古屋市を本拠とするテアトル・ド・バレエ・カンパニーが、芸術監督の深川秀夫による『コッペリア』を上演した。深川版の特徴は、牧歌的世界に魔術的な存在を投入したこと。自ら演じるコッペリウスをドロッセルマイヤーのごとく、…

マリインスキー・バレエ来日公演2016

標記公演評をアップする。 ロシアの誇るマリインスキー・バレエが三年ぶりに来日した。バランシンの『ジュエルズ』(67年、99年)、グリゴローヴィチの『愛の伝説』(61年)、ラヴロフスキーの『ロミオとジュリエット』(40年)、セルゲーエフ版『白鳥の湖』…

横浜ダンスコレクション『グロウリング Growling』2016

標記公演を見た(2月10日 象の鼻テラス)。横浜ダンスコレクションのアジア・セレクション[韓国]の枠組みで、日韓ダンス交流プロジェクトの5回目に当たる。上演時間1時間10分の前半は、ソウルダンスコレクション2014受賞振付家のキム・ジウクと、横浜ダンス…

東京小牧バレエ団『火の鳥』『憂愁』2015

標記公演評をアップする。 東京小牧バレエ団が創作物のダブル・ビルを企画した。佐々保樹振付『火の鳥』と、菊池唯夫・宗振付『ショパン賛歌〜憂愁』である。 佐々版『火の鳥』(92年)は、「小牧正英のエスプリ」を受け継いだ新版。概ねフォーキン版に沿っ…