2014-01-01から1年間の記事一覧

牧阿佐美バレヱ団『ドン・キホーテ』2014

標記公演評をアップする。 牧阿佐美バレヱ団がプリセツキー版『ドン・キホーテ』を上演した。バレエ団初演は89年、代々のプリマが踊り継ぐ、練り上げられたレパートリーである。古風な趣を湛えているのが、幕ごとのレヴェランス。幕前でマタドール達が並んで…

 「アリーナ・コジョカル ドリーム・プロジェクト2014」Aプロ

標記公演を見た(7月22日 ゆうぽうとホール)。Bプロは見ず。 前回はコボー主導でデンマーク色が強かったが、今回はいつものNBS公演だった。マクレーの超絶技巧、吉田都の自在、ムンタギロフの優美など、ちょこちょこ感想はある。が、何よりもコジョカルの特…

長谷川六パフォーマンス『素数に向かうM』『透明を射る矢M』

六本木ストライプハウスでの「TOKYO SCENE 2014」の一環。米人報道写真家トーリン・ボイドの日本風景をバックに飾ったパフォーマンス企画である(企画・制作:PAS東京ダンス機構、後援:ストライプハウス、助成:PAS基金)。『素数に向かうM』(7月16日昼)…

新国立劇場バレエ団『パゴダの王子』2014

標記公演評をアップする。 新国立劇場バレエ団がビントレー版『パゴダの王子』を再演した。4年間務めたビントレー芸術監督の最終演目である。自身が才能を見出し育てたダンサー達が、総出で花道を飾った。初演は東日本大震災の8ヶ月後、2011年11月。離散し…

Noism『カルメン』新制作

標記公演を見た(6月20日 KAAT神奈川県芸術劇場)。この劇場は客席の傾斜がきつく、前に迫り出す感じ。客席出口も迷路のようで、劇場自体がぎゅっと詰まった印象がある。Noismの覇気、熱気と見合っている気がする。 『カルメン』はメリメ原作、ビゼーのオペ…

フィリップ・ドゥクフレ『パノラマ』とコンドルズ

標記公演を見た(6月13日 彩の国さいたま芸術劇場大ホール)。『パノラマ』はこれまでの自作を再構成した作品。サーカスのような銀のアーチが二本、両袖には楽屋の化粧台が見える。変てこな行進や、強力ゴム(ロープ?)で吊られた男女の空中デュエットなど…

新国立劇場「ダンス・アーカイヴ in Japan」2014

標記公演を見た(6月7、8日 新国立劇場中劇場)。制作協力は現代舞踊協会。面白かった。『日本の太鼓』(振付:江口隆哉)を除いて、現在のダンスとして見ることができる。ダンサーがそのように踊っているからだろう。 最も面白かったのは、小森敏振付の『タ…

東京シティ・バレエ団「ラフィネ・バレエコンサート」2014

標記公演評をアップする。 東京シティ・バレエ団が恒例の「ラフィネ・バレエコンサート」を催した(主催・公益財団法人江東区文化コミュニティ財団)。創作バレエ2作、間に古典パ・ド・ドゥ集を挟んだ三部構成。多彩なプログラムで、地元江東区民に舞踊の喜…

牧阿佐美バレヱ団「プリンシパル・ガラ」

標記公演評をアップする。 牧阿佐美バレヱ団「プリンシパル・ガラ」が文京シビックホールで開催された。母体の公益財団法人橘秋子記念財団と、文京区及び公益財団法人文京アカデミーが事業協定を結んだ記念公演である。「プリンシパル・ガラ」と銘打たれた通…

新国立劇場バレエ団『ファスター』『カルミナ・ブラーナ』2014

標記公演評をアップする。 新国立劇場バレエ団が芸術監督デヴィッド・ビントレーの作品で二本立て公演を行なった。12年初演の『ファスター』と、95年初演の『カルミナ・ブラーナ』である(共にBRB初演)。前者はロンドン・オリンピックに因んだ新作、後者…

ABTラトマンスキー版『くるみ割り人形』2014

標記公演評をアップする。 アメリカン・バレエ・シアターが三年ぶりに来日、ラトマンスキー版『くるみ割り人形』、マクミランの『マノン』、「オールスター・ガラ」ABプロを上演した。この中から『くるみ割り人形』初日を見た。 09年よりABTのアーティ…

ラ ダンス コントラステ『ノア』

標記公演のゲネプロを、主催者のご厚意により見ることができた(6月7日 アサヒ・アートスクエア)。3人の振付作品を、白髭真二の体が蝶番となって繋いでいく形式。構成は中原麻里、振付は中原、大岩淑子、青木尚哉による。全体を通して感じたことは、ダンサ…

パリ・オペラ座バレエ団『ドン・キホーテ』2014

標記公演評をアップする。 パリ・オペラ座バレエ団が昨年に引き続き来日した。演目はヌレエフ版『ドン・キホーテ』(81年)と、ノイマイヤー版『椿姫』(78、06年)。どちらもオペラ座の現在を映す代表的なレパートリーである。そのうちの前者を見た。 ヌレ…

スタジオアーキタンツ「ARCHITANZ2014 3月公演」

標記公演評をアップする。 バレエ、コンテンポラリーダンス、能のオープン・クラスやワークショップを運営するスタジオアーキタンツは、国際的ネットワークを生かした実験的作品を、能楽堂や自スタジオで上演してきた。今回は新国立劇場に場所を移しての公演…

「NHKバレエの饗宴」2014

標記公演評をアップする。 「NHK バレエの饗宴2014」が開催された(主催 NHK、NHKプロモーション)。今年で三回目となるこの企画は、国内のバレエ団と優れたゲストダンサーが一堂に会する貴重な機会である。さらに、日本のバレエ団の現在を映像記録…

NBAバレエ団「スプリングバレエフェスティバル」2014

標記公演評をアップする。 NBAバレエ団恒例の「スプリングバレエフェスティバル」が開催された。演目は『ライモンダ』第三幕抜粋、舩木城振付『beyond』(新作)、ライラ・ヨーク振付『Celts』。古典、コンテンポラリー、モダンという充実したトリプル・…

PDA東京公演『ZERO』

標記公演を見た(5月29日 シアターコクーン)。PDAは Professional Dancers' Association の略で、樫野隆幸を会長に戴く男性バレエグループ。関西近辺のダンサー達だが、名古屋の人も。今回が初の東京お目見えだった。 バレエ作品は日本ではまだ古典中心のた…

現代舞踊協会第34回「モダンダンス5月の祭典」

今回は日本スペイン交流400周年記念特別企画公演で、日本フラメンコ協会との共催。4回公演の二日目を見た(5月21日 東京劇術劇場プレイハウス)。最も心惹かれたのは、米沢麻佑子の『道』(2013年9月初演)。初演時と同じく師の黒沢輝夫と踊るはずだったが…

新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』2014

標記公演評をアップする。 新国立劇場バレエ団が二年ぶりに牧阿佐美版『白鳥の湖』(06年)を上演した。来季の予定にも入る定着したレパートリーである。牧版はバレエ団先行のセルゲーエフ版を改訂したもので、プロローグのオデット白鳥変化、三幕ルースカヤ…

新国立劇場『カヴァレリア・ルスティカーナ』『道化師』

標記公演を見た(5月14日 新国立劇場オペラパレス)。新制作。演出のジルベール・デフロ、美術・衣装のウィリアム・オルランディ、照明のロベルト・ヴェントゥーリが素晴らしい。デフロはベルギー・フランドル地方生まれ。ブリュッセルで学んだ後、ミラノ・…

コデマリスタジオ第49回「コデマリコンサート」

標記公演評をアップする。 コデマリスタジオの「コデマリコンサート」が49回目を迎えた。三部構成の第一部は、スタジオ生が日頃の成果を披露する発表会、第二部はタンゴ、バレエ、モダンの創作小品集、第三部はスタジオ全員で『ロミオとジュリエット』のリハ…

杉並洋舞連盟第24回「創作舞踊&バレエ」

標記公演評をアップする。 杉並洋舞連盟の「創作舞踊&バレエ」が24回目を迎えた(共催・杉並区教育委員会、杉並区文化団体連合会)。コンテンポラリーダンス、モダンダンス、古典バレエによるトリプル・ビル。全て合同作品である。 幕開けは、自身優れたダ…

井上バレエ団『眠りの森の美女』2014

標記公演評をアップする。 井上バレエ団が創立45周年記念公演として、チャイコフスキー三大バレエを連続上演した。その掉尾を飾ったのが古典バレエの最高峰、『眠りの森の美女』全三幕である。芸術監督関直人による改訂は、本来あるべきマイムをできる限り残…

谷桃子バレエ団『リゼット』2014(訂正あり)

標記公演評をアップする。 谷桃子バレエ団が四年ぶりに貴重なレパートリー『リゼット』を上演した。62年にスラミフ・メッセレルとアレクセイ・ワルラーモフがゴルスキー原振付版を移植。豊かなマイム、素朴な踊りが前近代的な味わいを醸し出す、牧歌的喜劇バ…

新国立劇場バレエ団『シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメンツ』

標記公演を見た(3月18、19、23日 新国立劇場中劇場)。ジェシカ・ラングの新作『暗やみから解き放たれて』、ハンス・ファン・マーネンの『大フーガ』(71年)、バランシンの『シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメンツ』(72年)によるトリプル・ビルであ…

Kバレエカンパニー『ラ・バヤデール』新作

標記公演を見た(3月24日 オーチャードホール)。 まず久しぶりに聴いたミンクスの音楽に魅了された。プログラムによると、オリジナルの痕跡を最も忠実に残していると思われる2009年ケンブリッジ出版のピアノ譜に当たり、グリゴローヴィッチ版やランチベリー…

アイザック・エマニュエル『ANICONIC』

標記公演を見た(3月26日昼 STスポット)。なぜ見たかと言うと、主催が舞踊批評家の武藤大祐だから。どのような作品を持ってきたのか、興味があったから。 フロントアクトとして、出演者の一人スルジット・ノンメイカパムによるソロ『One Voice』があった。…

アメリカン・バレエ・シアター『マノン』2014

標記公演を見た(2月28日昼夜、3月1日 東京文化会館)。 まず思ったのが、1月の東京バレエ団『ロミオとジュリエット』と同じく、東京シティ・フィルの演奏がよいということ。両者とも上から見たせいかもしれない。現在進行中のパリ・オペラ座バレエ団公演も…

東京シティ・バレエ団『白鳥の湖』2014

標記公演評をアップする。 東京シティ・バレエ団が都民芸術フェスティバル参加公演として、伝統の石田種生版『白鳥の湖』(70年)を上演した。石田版はセルゲーエフ版に準拠、四幕での日本的美意識に沿った独自の白鳥隊形が大きな特徴である。終幕のオデット…

『山崎広太―狂気と共同体』

標記エッセイを『ダンスワーク65』2013冬号に書きました。特集名は「戦後日本の現代ダンス作家論1」です。取り上げられた作家は、宮操子、石井みどり、花柳寿々紫、土方巽、前田哲彦、笠井叡、山崎広太。宮、石井、土方、前田、笠井は長谷川六、花柳は志賀…