バレエ

大和シティーバレエ「Summer Concert 2020」

標記公演を見た(8月14日 大和市文化創造拠点 シリウス芸術文化ホール)。コンサートの表題は「想像×創造」。佐々木三夏プロデューサー指揮の下、今回もコンテンポラリーからバレエまで、意欲的な創作が並んだ。会場入口には消毒液が置かれ、スタッフはマス…

牧阿佐美バレヱ団「サマー・バレエコンサート 2020」

標記公演を見た(8月11日 文京シビックホール 大ホール)。牧阿佐美バレヱ団8か月ぶりの舞台公演である。昨年末の『くるみ割り人形』を最後に、3月公演『ノートルダム・ド・パリ』、6月公演『ロメオとジュリエット』が、新型コロナウィルス感染拡大防止の…

新国立劇場バレエ団『竜宮』2020

標記公演を見た(7月25日夜, 26日昼夜 新国立劇場オペラパレス)。今年の「新国立劇場こどものためのバレエ劇場」は、東京オリンピック・パラリンピックに合わせて企画された 令和2年度日本博主催・共催型プロジェクトの一環でもあった。「日本の美」を内外…

ボリショイ・バレエ in シネマ『ジゼル』2020【追記】

標記映像を見た(6月24日 TOHOシネマズ日本橋)。2020年1月26日、ボリショイ劇場から世界へ生中継された公演の収録映像である。振付はアレクセイ・ラトマンスキー、振付助手はタチアナ・ラトマンスカ、美術はロバート・パージオラ(アレクサンドル・ブノワに…

熊川哲也のこと2020

前々回ブログに続く。上京後、パフォーミング・アーツを見られる環境になったものの、文学と映画という複製技術による芸術の周辺をぐるぐる回っていた(+美術)。経済的なことに加え、プロテスタント的な禁欲が、劇場に行くことを阻んでいたのだ(今でも映…

2月27日以後 2020

2月26日の夕方、新国立劇場バレエ団の『マノン』(小野絢子・福岡雄大主演)に向かう途中、同劇場からのメールを読んだ。 新型コロナウイルス感染症の拡大防止に係る文部科学大臣からの要請を受けて、新国立劇場では、感染症拡大のリスクを低減する観点から…

山本康介『英国バレエの世界』2020【追記】

標記書籍を読んだ(3月23日)。ダンサー山本康介を見たのは、バーミンガム・ロイヤル・バレエ退団後、バレエシャンブルウエストの『おやゆび姫』と『ルナ』において。それぞれ、つばめと長耳(うさぎ)の役を、パワフルに踊った印象がある。一方、振付家とし…

パリ・オペラ座バレエ団『ジゼル』『オネーギン』2020

標記公演を見た(2月28日、3月6日 東京文化会館 大ホール)。3年ぶりの来日公演。前回はミルピエ前芸術監督の決めたプログラムだったが、今回はオーレリー・デュポン現監督が、オペラ座伝統の『ジゼル』と、クランコの『オネーギン』を選択した。後者はマチ…

新国立劇場バレエ団『マノン』2020

標記公演を見た(2月22, 23, 26日 新国立劇場オペラパレス)。マクミランの最高傑作『マノン』は、74年英国ロイヤル・バレエにより初演。その後、世界各地で上演されるモダン・バレエの古典となった。新国立では03年初演、12年の再演を経て、今回が8年ぶり…

2月に見た振付家 2020

★スー・ヒーリー@『ON VIEW : Panorama』(2月2日 横浜赤レンガ倉庫1号館 3F ホール) 「横浜ダンスコレクション2020」開幕公演で世界初演。振付・演出・映像はヒーリー、出演は、日本の浅井信好、湯浅永麻、香港のジョゼフ・リー、ムイ・チャック–イン、…

東京シティ・バレエ団『眠れる森の美女』2020

標記公演を見た(2月16日 ティアラこうとう 大ホール)。都民芸術フェスティバル参加公演。同団の『眠れる森の美女』先行版としては、有馬五郎版が、1968年の創立から10年間上演されている(プログラム)。その後レパートリーから外れ、バレエ団は3大バレエ…

日本バレエ協会『海賊』2020

標記公演を見た(2月8日、9日昼夜 東京文化会館 大ホール)。都民芸術フェスティバル参加公演。新振付・構成演出は、ウクライナ国立アカデミー・オペラ・バレエ劇場バレエ団の元主役ソリストで、同劇場振付家のヴィクトール・ヤレメンコ、振付補佐に夫人で同…

谷桃子バレエ団『リゼット』&『Fiorito』2020

標記公演を見た(1月18日 東京文化会館大ホール)。創立70周年を記念する新春公演は、バレエ団の歴史的遺産『リゼット』と、伊藤範子の新作『Fiorito』の二本立て。「古典と創作」を活動の柱とする同団らしいプログラムである。 幕開けの『Fiorito』は「花盛…

新国立劇場バレエ団「ニューイヤー・バレエ」2020

標記公演を見た(1月11, 12, 13日 新国立劇場オペラパレス)。今年はバランシン振付『セレナーデ』(34, 35年)、牧阿佐美改訂・振付『ライモンダ』よりパ・ド・ドゥ(04年)、『海賊』よりパ・ド・ドゥ、クリストファー・ウィールドン振付『DGV』(06年)新…

『くるみ割り人形』+『かもめ食堂』2019

★Kバレエカンパニー(11月28日 オーチャードホール) 熊川哲也版。ホフマン原作の複雑な時空を反映。ヨランダ・ソナベントの華麗な美術がマジカルな空間を作る。マリー姫の浅野真由香は明るく爽やか、王子の遅沢佑介はノーブル、クララの河合有里子は可愛ら…

2019年公演総括【追加あり】

2019年の洋舞公演を振り返り、印象に残った振付家・ダンサーを列挙する(含2018年12月)。 【バレエ振付家】 大ベテランの関直人、大竹みかが逝去。大竹は没前年まで新作を振り付けていた。同じく大ベテランの松崎すみ子は、『メアリー・ポピンズ』改題の『…

11月に見た振付家・公演2019

★皆藤千賀子 @「ダンスブリッジ 2019 インターナショナル劇場」(11月3日 セッションハウス) 『Age of curse』。1時間物を短縮したとのことで、やや断片的な印象も受けたが、その断片の強度、コンセプトの強さに驚かされた(皆藤はデュッセルドルフを拠点…

10月に見た公演2019

★NBAバレエ団『海賊』(10月20日 東京文化会館 大ホール) 久保綋一演出・振付、宝満直也振付。バイロン原作に寄り添い、新垣隆のオリジナル曲を大幅に採用した独自の改訂版である。コンラッドとメドーラの夫婦愛、ギュリナーレの悲恋、『ライモンダ』を思わ…

ミハイロフスキー劇場バレエ『パリの炎』『眠りの森の美女』2019

標記公演を見た(11月21日昼, 24日朝 東京文化会館大ホール)。4年ぶりの来日公演。毎年夏冬に公演していたレニングラード国立バレエ団時代との、あまりの違いに驚かされた。以前は、古典やボヤルチコフ作品を誠実に踊り、観客との間に近しい関係を築く一ロ…

日本バレエ協会「Ballet クレアシオン」2019

標記公演を見た(11月9日 メルパルクホール)。文化庁「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」の一環である。協会の振付家育成・創作推進事業としては、先行の「バレエ・フェスティバル」が49回、文化庁共催となった「Ballet クレアシオン」が今回で9回…

新国立劇場バレエ団『ロメオとジュリエット』2019

標記公演を見た(10月19, 20夜, 26夜, 27日 新国立劇場オペラパレス)。大原永子芸術監督最終シーズンの幕開けは、ドラマティック・バレエの定着を悲願としてきた監督にふさわしい、マクミラン版『ロメオとジュリエット』だった。 同版(65年)は、01年バレ…

牧阿佐美バレヱ団『三銃士』2019

標記公演を見た(10月5日 文京シビックホール 大ホール)。 振付のアンドレ・プロコフスキーは、1939年パリ生まれ。シャラ、バビレ、プティのカンパニーで踊った後、ロンドン・フェスティバル・バレエ、グラン・バレエ・ド・マルキ・ド・クエバス、NYCBで踊…

Kバレエカンパニー『マダム・バタフライ』新制作 2019 ①

標記公演を見た(9月29日 Bunkamura オーチャードホール)。プロローグ付き全2幕5場。洋装と和装の女性が重なるように描かれた象徴的紗幕が、場面転換に使われる。演出・振付・台本は芸術監督の熊川哲也、原作 ジョン・ルーサー・ロング、音楽 ジャコモ・…

Kバレエカンパニー『マダム・バタフライ』新制作 2019 ②

標記公演三日目を見た。主要キャストはゴロー、花魁を除いて、ファーストキャストと同じである。 主役の蝶々夫人には、持てる才能を順調に開花させた矢内千夏。生来の慎ましさが役柄によく合い、日本的はかなさ、透明感に、清潔なきらめきを加えている。その…

9月に見た公演など2019

9月はまだ終わっていない。Kバレエカンパニーの新制作も控えているが、記憶の新しいうちにメモしてみたい。 ★「塩田千春展 魂がふるえる」(9月3日 森美術館)✖「没後90年記念 岸田劉生展」(9月3日 東京ステーションギャラリー)✖「東京計画2019 vol.2 風…

8月に見た振付家2019

★伊藤範子 @ 「谷桃子バレエ団附属アカデミー 第59回生徒発表会」(8月7日 大田区民ホール・アプリコ大ホール) 高等科9人の女性に振り付けた『Gosh! win for the future』。ガーシュインの気怠さ、アメリカ的なテンポの良さが、振付に反映されている。音…

日本バレエ協会「全国合同バレエの夕べ」2019

標記公演を見た(8月10, 12日 新国立劇場 オペラパレス)。文化庁及び、公益社団法人日本バレエ協会が主催する「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」の一環。各地で活躍する振付家・ダンサーが一堂に会し、互いの研鑽を確認し合う、言わば「バレエのふ…

吉田都引退公演「Last Dance」2019【追記】

標記公演を見た(8月8日 新国立劇場 オペラパレス)。「NHKバレエの饗宴」特別企画として、2日間にわたり開催。当日8日は、9歳でバレエを始めた吉田が、サドラーズウエルズ・ロイヤル・バレエ団で11年、英国ロイヤル・バレエ団で15年、フリーランスで9年…

7月に見た振付家・ダンサー 2019

★マルコ・ゲッケ @ ネザーランド・ダンス・シアター『Woke up Blind』(7月6日 神奈川県民ホール 大ホール) 来日プログラム4作の中で圧倒的に面白かった。レオン=ライトフット作品は当然だが、カンパニーのためのコンテンツという意識が強く、パイト作品…

井上バレエ団『シルヴィア』2019

標記公演を見た(7月21日 文京シビックホール・大ホール)。この5月10日にバレエ団芸術監督の関直人が急逝、その悲しみも癒えぬうちの新制作上演である。バレエ団は創立者の井上博文亡き後、その志を継いで、関による古典改訂と創作及び、ブルノンヴィル作…